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report 蒐集家の館
奥多摩の外れの山間に、ひっそりと佇んでいる。
かつて、この館に住んでいたのはスピリチュアルブームの牽引者の一人であったオカルト研究家の小見山哲朗氏である。
彼はオカルト関連の、いわゆる曰くつきの品物のコレクターとしても有名であった。
“切り裂きジャックのナイフ”や“ネッシーの鱗”、“スカイフィッシュの羽”や“瞬きする幽霊画”など……。
もちろん、すべて偽物である。
しかし、二〇一六年辺りから、このコレクションの中に一つだけ本物が紛れ込んでいるという噂が流れた。
この噂は、小見山氏とは二〇〇一年に離婚した元妻の霊能者、山田頼子さんが動画サイトで行った発言が発端となっている。
このあと、すぐに頼子さんが音信不通になった事も様々な憶測を呼び、奥多摩に所在する故小見山氏の住んでいた切妻の洋館は、一躍有名な心霊スポットとして名を馳せた。
当初は探索に訪れる者が後を立たなかったが、雀蜂による被害や付近で熊の目撃情報があった事から、別な意味で危険なスポットとして知られるようになり、来訪者は途絶えてしまった。
危険度ランク【A】




