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勇者?魔王?いいえ村人です。  作者: 蒼伊悠
序章
4/27

4:魔力

少しだけ長くなりそうなので、本日もう1話のせます。


 一時間ほど移動すると、これ以上進んでも食料や夜営の準備に間に合わないという事で今日は早めに移動を切り上げて休憩することになった。


 といっても、テント等は人数分揃っていないので、葉っぱ等を拾いその上に座って休憩する位だ。


 「魔法は、魔力を元に事象を起こすイメージをすればいい」

 ただ、休んでいるだけではない。

 クラスメイトの一人が魔法の事を教えてほしいと頼んだ事を切っ掛けに魔法が得意であるというミリアさんが教えてくれる事になった。


 勿論魔法に興味津々である俺はミリアさんの近くを陣取っている。


 因みにソフィアさんと眼鏡男はいない。あの二人は食べ物を探して来るとかでこの場を離れている。

 クラスメイト達は幼いミリア一人を残していくことに不安を抱いていたが、眼鏡男がいうには結界がはってあり、モンスターなんかは早々入ってこれなくなるらしい。



 「ミリアさん、魔力とは何なのでしょうか」

 天神が魔力について聞いている。俺は大体予測ついているが、知ってるものと同じかは分からない。


 「魔力は、生命をもつの全てに宿る、力。魔力を上手く扱えなければ魔法は、発動、しない」

 「そんなもの、どうやって使えっていうのよ。オタク達が話してそうな事言われてもわからないわよ!!」

 クラスの女子の一人が苛ついたのか怒鳴る。

 あれは、オタク嫌いのギャルで曽根原だ。

 

 「目を閉じて、集中して、内側にあるエネルギーを知覚する……できない?」


 ふむふむ、何となくわかったぞ。こういうのには大概テンプレがある。瞑想するとき丹田を中心に全身に熱いなにかを感じればそれが魔力だったりする。


 早速目を瞑って丹田の辺りに意識を集中させる________何も感じない。


 「んー、そうだ」

 要領を得ない説明にクラスメイト達が頭上にはてなを浮かべているとミリアさんは立ち上がる。


 「ちょっと何?」

 突然ミリアさんに触れられ曽根原は少しだけ臆した表情をしている。


 「こうすれば、手っ取り早い」

 「きゃっ……な、なにこれ」

 曽根原は悲鳴をあげたと思うと自身の体を見下ろして驚いている。

 なんだ、あのいかにも全身に力が漲ぎってます感は……そうだ。


 こういう時の為のスキルがあったんだ。

 頭痛も治まっており、今なら使っても大丈夫な気がする。


 霊視スキルを発動するイメージを浮かべる。


 瞬間、曽根原の周りにオーラのようなものが揺らめいているのが見える。

 恐らくあれが魔力なんだろう。


 いや、曽根原だけでない。ミリアさんを含めたこの場にいる全員をオーラが包んでいる。


 ……これは、魔力は誰にでもあるって言ってたから内包されている魔力なのか?


 他の皆は周りにオーラがあるのに対して曽根原の魔力は大きく揺らめいている。恐らくここが魔力を使用している状態かそうでないかの違いだ。


  


 「うお、なんだこれ」

 「す、すげぇ!」

 「何なのこれ!」

 証拠にミリアさんに触れられていったクラスメイト達のオーラが途端に揺らめきだす。

 というか、なんだろう。他の人の魔力を知覚出来ると自分にも出来る気がしてくる。



 丹田から魔力感じるイメージをしていたが、違う。魔力は既に全身を覆っているんだ。なら、全身に溢れる力の流れを意識すれば…………いけた。暖かいものが全身を包んでいるのを感じる事ができた。



 「あれ? 自分で、できてる?」

 端から触れていっていたミリアさんがいつの間にか目の前を来ていた。ちょうど俺の番だったということか。


 「はい、何となくやってみたらいけました」

 「そう、すごいね」

 「ありがとうございます!」

 ミリアさんは俺の隣にいた俊輔へと触れいき、その隣へとどんどん移動していく。


 それから直ぐにクラス全員が魔力の存在を感じる事が出来るようになった。



 「魔力を感じたら、魔力の流れに指向性を持たせて一ヶ所に集める事もできる。その、集めた魔力を魔法へと変換するの」

 ミリアさんの説明を聞いて天神が手を上げる。


 「どうすれば、魔法へと変換されるのでしょうか」


 確かにそれが謎だ。物語とかだと気にした事はなかったが、魔力というフィクションの力を手にしてもなお、魔法を使える事には懐疑的な自分がいる。


 単なるエネルギーが、魔法へとどう変換されていくのか全くもってイメージがわかない。


 「魔力は、それ事態が変質する力をもつ、そこに私達がイメージと人が根源的に持っている干渉力を魔力に、混ぜる事で魔力はイメージした形に、干渉力の強弱で、それを事象として発動することが出来るようになる」

 

 「その干渉力とは知覚出来るのですか?」

 天神の質問にミリアは首を横に振る。


 「現時点で、干渉力を認識することは、できない。ただ、同じ魔力同じイメージで魔法を行使させた、実験がある。イメージ力の差では考えられない魔法の強弱が出たのは、たしか。それで干渉力と呼ばれる、力があると判断している」


 ミリアさんの説明聞いて納得する。

 それもそうか、イメージだけで何でも出来ちゃうなら魔法は何でもありになってしまう。

 それこそ、例えば、一人の人間が国を破壊したいと思いそれを為すであろう力をイメージしただけで国が滅んでしまう。

 そうはなっていないのは、イメージしようにも干渉する力がないからそこまでの規模の力が使えないという事だ。 


 規模の大きい力はそれだけで魔力も食うこともあるだろうが。


 「【来訪者】なら魔法使える、可能性ある。魔法スキルを得ていれば」


 ミリアさんのその言葉を聞いたとき固まる。


 え……魔法スキル?


 …………俺のステータスは職業村人にスキルは神眼、霊視、意志疎通、身体強化、農民スキルなわけで…………うん、魔法スキルはない。


 「僕は光魔法とか持ってますけど、他のは使えないんですか?」

 「つかえるけど、素質と練習必要。でも、スキルがあれば直ぐ使える」

 よかった。魔法が使えないというわけではないようだ。

 スキル構成を決めたときから魔法は使えないと覚悟はしていたが、それでも憧れはある。


 「なら、光魔法はできますね」

 「太陽君やるの?」

 「なに? 天神がやるの?」

 天神の言葉を聞いてクラスメイト達は騒がしくなる。

 魔法、フィクションの力を自分達のリーダー的な存在である天神が使うとあっては見逃すわけにはいかないと天神に集中している。


 「太陽がんば!」

 おっと、意外なことにツンツンギャルの曽根原も天神を応援している。それも割りと親しげに下の名前を呼んでいる。


 「では、まず僕が試してみるよ」

 「光魔法なら光の玉とかにすればいい。これなら明るい玉をだすだけだから、危険ない」

 「はい」 


 天神が目を閉じる。

 魔力が揺らめいているのが見える。いや、それだけではない。魔力が一度丹田があるところに集まっていく。


 丹田で回転した魔力の渦が再度天神から溢れ出す。

 視てるからか、わかってしまう。あの魔力は先程の魔力とは違う。変質し形を持とうと変化していってる。


 これが、魔法へと変わっていく魔力か。


 変質した魔力は天神の掌の上へと集まっていき。


 眩い光を放つ。


 「で、できた……」


 天神が掌の上に浮かぶ光の玉に茫然と呟く。

 他の皆も突然現れたように見えたであろう光の玉に驚いている。


 「すげぇぇ! 天神魔法を使っていやがる!!」

 「流石!太陽くん!!」

 「すげぇ!」

 驚きは自然と喜びに変わっていき、クラスメイト達はにわかに騒々しく盛り上がるようになる。


 「皆、スキルがあれば何となくだけど、魔法の使い方が分かるみたいだ。恐らくそれは皆も同じだよ。スキルがある者は練習してみるといい」

 光の玉を消し、頬に汗を一筋流しながら天神がクラスメイト達に魔法を発動するよう促す。


 だが、そのまま魔法を発動させるわけにはいかない。

 

 「おい、天神。さっき、ミリアさんも言ってただろ。他の魔法は危険かもしれないぞ」

 主に周りに被害が及ぶであろう炎魔法とかは迂闊に発するわけにはいかない。今は森の中だ。自分達で放った魔法で森が炎上して逃げ遅れて死ぬとかなったらシャレにならない。


 「そうか、ミリアさん。こういう場合はどうしてるんですか」

 「火系統以外の魔法スキルならば、そこらにある木にでもぶつけてみればいい」


 「……というわけだ。火系統以外の皆は試してみればいい」

 

 自分も魔法が使えるクラスメイト達は玩具を与えられた子供のようにそれぞれ魔法を発動させようと木に向き合っている。


 「ちぇ、つまんねーの」

 不貞腐れたように俊輔が愚痴る。

 そういえば、こいつは火魔法だったな。


 「まぁ、大人しく俺と観戦と決め込もうぜ」

 「わかってるけどよぉー。魔法早くつかいてぇよぉ」

 「おい、泣くなよ。気持ち悪いな」

 俊輔は俺以上に魔法に対して思いいれがあるのか本気で悔しがっている。

 

 「ねぇ、御手洗」

 仕方なしに、俊輔を慰めていると鬼灯が東雲さんと二人で声をかけてきた。


 「どうした?」 

 「私さ、聖魔法と水魔法あるんだけど、どっち使った方がいいかな?」

 「水魔法の方がいいんじゃないか? わかりやすいだろうし」

 聖魔法とか、人を治したりアンテッドとかに効果てきめんとかよ効果があるなら一見しただけじゃあ魔法が発動しているか判別しにくいはずだ。


 「わかった。水魔法にしてみる」

 「そういえば東雲さんは魔法スキルあるの?」

 剣聖の東雲さんのスキルはいまだ把握していない。


 「うん、私は風魔法を持ってる」

 「風かー、色々できそうではあるよね」

 極めれば空を飛んだりも出来そうではある。でも、はじめは微風を起こして魔法を行ったと感じる所から始める____。


 「【風の刃】」 

 東雲さんが掌を木に向けると何かを発する。

 それの形は見えなかったが何が起きたかを深く抉れた大木が教えてくれた。


 「むぅ、まだ甘いか」

 「うわ、時雨すごいわね」

 鬼灯が軽く驚いねいるが、俺は驚愕レベルで驚いている。

 事も無げにやっていたが、風の刃を作って飛ばしたんだろう。

 その威力は大木が示してくれた。



 



感想、アドバイス等いただけたら喜ぶらしいです。



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