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39話 闇の目覚め

さてさて、2章も残すところあと2話!

よろしくお願いします!!

 

 沈みゆく意識の中でレンは考えていた。


 友人を救えなかった自分への後悔。そして護ると誓った相手を無力にも失ってしまうかもしれない恐怖。それら全てはレンの心を締め付け、ただ1つの希望さえも消し去ってしまう。それを抱え込み、さらに意識は奥の奥へと沈む。


『これでいいのか?』


 何かが心に問いかけた。

 無論、良いわけがない。助けたい。友達も。大切な人も。


『ならどうするんだ?』


 更に声は問う。


 ……分からない。


『またお前は大切な人を失うのか。何度も繰り返した挙げ句にこれか?』


 どうすればいい?


『何だよ。お前が一番分かってるだろ?』


 ……あぁ。そうだな。


「戦って勝つしかない。」


 ♢


 その現象は一瞬で起きた。


 それは死した筈の身体に背を向けた時だった。膨大な魔力の波がアーマを襲ったのだ。それを眼前にした時、アーマは信じられずにいた。


 確かに彼の心臓を『死槍』が貫いたはず。それは紛れもなく彼自身が手に感じた感触から判断したものであり、現にレンの胸元、心臓部には30センチ程の風穴がガッポリ空いている。


 なのに。それなのに。どうして彼は今立ち上がり、さらには膨大な魔力をその死した筈の身から放出する事ができるのだろうか?


「レン…。君は、一体。」


 動揺が消えない。


 それもその筈。『死槍』は技の使用者の命の半分を使い、敵を確実に殺す一撃必殺の技だ。なのにどうして。


 疑問が頭に押し寄せるアーマに衝撃が走った。それは痛み。


「ぐおっ!」


 おかしい。


 今さっきまで目の前に立って居たはず。


(どうして奴は俺の懐に!)


 突如現れたレンの拳がアーマの腹に一撃を喰らわせた。


 さらにその力は今まで感じた事が無いほど重圧で冷酷な一撃。


「ぐっ!」


 重い一撃に教会からかなり離れた位置まで飛ばされた。丁度建物の破片がクッション代わりに衝撃を抑えてくれたのだろう。硬い痛みが背中を刺激する。だが、それ以上に今の現状に理由を出せない。


(何だあの力は!?今までのあいつから感じてきた魔力とは全然違う。あれはむしろ……――っ!?)


 殺気がアーマの体中を駆け巡った。今までに感じた事の無い程の重圧に臓器が無理矢理潰されている気分だ。


 見ると、ミサキレンは積み上げられた瓦礫の上に足を掛け、こちらを見下ろしている。その瞳は赤黒い混沌の色に、不適にも微少の笑みを見せている。未だ胸の穴は塞がること無く血を大量に流し続けている。


 ここは先手を取られてはならない。アーマの戦闘本能がそう悟った。


「『黒き染まる黒槍デス・ランセル』!」


 瘴気の力でレンの目の前まで跳躍したアーマは、背後に黒槍を無数に作り出す。だが、これはあくまで相手に退避させないための選択。


 真の狙いは別にある。


「『黒槍こくそう』!」


 右手に黒槍を作りだしレンに向けて突き刺す。


「……。」


 動かないままのレンは、ふっと迫る黒槍に向けて手を翳す。するとどうだろう。作り出した黒槍が元の瘴気へと変換され始めたのだ。


「っ!?」


 先端から全てを瘴気へ分解されてた黒槍は、レンの身体に纏わり付くと、空いた胸の穴に集まり始めた。


 そして全てが同化した時、胸の穴は塞がっていた。


「くそ!行け、『黒き染まる黒槍デス・ランセル』!」


 黒槍を敢えなく消されたアーマは、背後に仕掛けておいた『黒き染まる黒槍デス・ランセル』をレンに向けて放った。


 だが。


 先程の黒槍と同様に、無数の黒槍もまた、瘴気に分解され、レンの身体に同化する。


(何だ。あれは……。)


 今までに見たことのない現象にアーマは唖然。そんな彼に更なる奇襲が襲いかかっる。


「っ!?」


 またしても一瞬で目の前にレンが現れた。


 今度は右手でアーマの胸元に触れた状態で立って居るだけ。


 危機を感じたアーマは直ぐさまレンから離れる。が、しかし。レンの手が触れていたアーマの胸元から黒い瘴気の線がレンの右手と繋がっていた。


(これは。俺の黒瘴気。まさか!?)


 気づいた時には遅かった。瞬く間にアーマの力は抜けていき、代わりにレンの魔力が増幅しているのが分かる。


「ぐぁっ。っはぁ!」


 力が抜けていく中、黒槍を作り出し、レンと繋がっている瘴気の線を断ち切った。


「はぁ、はぁ、はぁ。」


 危なかった。


 あともう少し黒瘴気を抜かれていたら、間違いなくアーマは死んでいたに違いない。


 本来、黒瘴気とは生物の身体に存在しない物である。それを強制的に身体に寄生させる事によって、普段得られない力を手にすることが出来る。


 しかしデメリットもある。瘴気を寄生させている生物から瘴気を抜く、若しくは浄化するとその生物は途端に灰になり、命を落とす。


 アーマは額を流れる汗を拭き、黒槍を構えた。


 これ以上瘴気を奪われたら危ない。だからと言って、逃げるわけにもいかない。


 どう戦う?


 遠距離攻撃だと、また瘴気に戻されて相手の力となってしまうだろう。だからといって近距離戦となると瘴気を奪われないように戦う事を意識しながらの戦いとなるため、あまり実力を出し切れないかもしれない。


 だがここは。


「はぁぁぁ!」


 アーマは最大限に瘴気を集め、黒槍をレンに向かって投げた。


 レンは迫る黒槍に向けて、再び手を向け力を奪おうとする。が。


「……。」

「瘴気は吸えないぞ。その為に最大限に硬化させたんだ!」


 黒槍は一片も瘴気へと還す事無く、レンに迫った。


 攻撃を吸収する手段を失ったレンは目の前に業火の如く瘴気を燃やす黒槍が迫った瞬間に後ろへ後転。難を逃れたかに見えたが、それは違った。


 躱す寸前、黒槍はレンの左腕を切り裂いたのだ。


「……。」


 痛み無い無の顔で失った腕を見るレン。更に後ろから攻撃の予兆を察知した。


 レンの左腕を奪い取った黒槍は後方で向きを逆転させ、再びレンに襲いかかろうとする。


 すると身体を纏っていた瘴気が背中へと集まり始めた。根元から形を形勢し始めたそれは、まるで悪魔の翼と成った。


 翼が一度羽ばたくと、地面に重い風圧を叩き付け、空へ飛び立った。それを追うように黒槍もまた、レンを追尾する。


 両者共、とても人間の目で追い切れないスピードで飛行勝負を始め、それを目視できるのは地に立つアーマのみ。


 黒槍も飛行スピードで負けてはいないが、どうしてもレンに一撃を喰らわせる事が出来ない。


(速いな。あれもまた、瘴気の力なのか。だが!)


 アーマは黒槍に指示を送った。


「『黒龍弾ダーク・バレット』!」


 黒槍は宙でいくつかに分裂すると、小さな銃弾の形を形勢した。一発がレンに向かうと、それに同調し他の銃弾もレンに襲いかかった。


 翼を靡かせ佇むレンは、すっと右手の平を下に向けた。その動きに合わせ、瘴気の右翼が右手に集まり始める。そして下に垂れた瘴気は、氷になっていく水の様に固まり始め、黒い剣の形を成した。


 黒き瘴気を剣身から放出する黒刀を迫り来る弾丸に向けて空を斬った。


 その剣線に瘴気を跡を残した見えない斬撃は、分散された黒の銃弾を全て両断した。


「そこだぁ!!」


 銃弾を破壊したレンの後ろにアーマが飛んでいた。


 銃弾はあくまでフェイク。そちらに気を取られていれば、背後はがら空きになると考えたシンプルな作戦だ。


「はぁぁ!」


 速度も反応出来ない速さだ。


 アーマは一線を振った。


 ズシュッ!


「なにっ!?」


 手応えはあった。その筈のなのに横断したはずのレンの身体は瘴気に変化し、それはアーマの居る更に上空に集まった。無論そこにレンは居た。


「分身…。そうか。斬った腕から自身の分身を作っていたのか。」


 瘴気となった分身はレンの斬られた筈の右腕に吸い寄せられ、全て収集し終えた時には右腕は完全に元の形を取り戻した。


「……。」

「だが、それは俺の攻撃を読んでいなければ出来ない事だ。つまり。お前は先を読んでいるんだな。」


 そう考えるほか無かった。


 あのスピードの攻撃を一瞬で分身と入れ替えて避けることなど不可能だ。であれば、攻撃を予知していたと考えるのが無難な回答の筈。それにレンに至っては、いつかのリヒトとの戦いで、それらしき動きを見せていた。


 つまりレンは先を読む能力か、それに付随する能力があると言うことだ。


「やはりお前が謎だよ。お前は一体何なんだ。それにその能力。俺と同じ…いやそれ以上。一体―――。」


 話をするアーマにレンから砲撃が放たれた。


「くっ!」


 咄嗟に避け回避。


 それにしても実に禍々しい姿だ。


 背中から出現している黒い翼もしかりだが、漆黒の瞳と何も感じていない表情。そして何より、『死槍』で貫いた胸部に現れた黒い模様。それが戦闘を重ねる毎に彼の身体に広がっている。


 それだけで彼が本当に悪魔では無いかと勘違いさせるほどの威圧を感じる。


「お前は…一体。」


 アーマは黒槍を構えた。


 ♢


 一体どれだけの時間が経ったのだろうか。


 アーマに心臓を貫かれ、意識が底に沈み始めて既に何時間経過したのか。


 一度、何か声が聞こえて以来、それからレンの身体に変化は生じていない。


(あれから、どうなった?俺は…死んだのか。)


 意識は殆ど薄れている状態。それに身体は動かず、重力に任せて落ちて行っている状態だ。


 チリンッ


 すると、黒い意識の水中に鈴の音が響いた。


 透き通る様な透明な音。なのに心に残る暖かい音色。


 その聞き覚えのある音にレンは目を開けた。


 辺りは永遠に続く闇が広がる空間。そこにふと、優しく置かれた小さな光が見えた。


 レンはそこに手を伸ばす。


 


「ここ…は?」


 ハッと気づいたレンが居た場所は真っ白の空間。先程の闇とは違い、ただただ白い空間が広がっていた。


「俺は、どうしたんだ?あっ!もしかして此処って天国とか!?」

「それは違うよ。」


 妄想に耽るレンの背中に誰かが声を掛けた。


 振り向くとそこには小さな背丈の少年が立って居た。


 服は上下真っ白の汚れたら辛い気持ちになる服。薄い緑の髪の毛を柔らかく伸ばしているのが特徴。そして何故か、彼の顔にはどこか見覚えがある。そう感じた。まるで心に何かが引っかかる様に。


「初めまして。あなたの事はずっと近くで見させて貰ってました。ミサキレンさん。ですよね?」

「あ、あぁ。君は?」

「えーっと。何を言ったら分かるかな?『黒槍こくそう!』どうですか?」

「っ!」


 その声は間違いなくアーマの声だった。確かに見直してみれば、どことなくアーマに似ている様な…。


「もしかして、アーマか?」

「少し違います。僕はシーナ・ライト。アーマ・ライトは僕の兄です。」

「なっ、マジかよ!!」


 衝撃にも程があるぞ。

 多分ここ最近で一番に叫んだ瞬間だろう。


「ちょ、ちょっと待ってくれ。君がアーマの弟であることは信じよう。でも、何でここに?っていうか何で俺に?そこはアーマに。とかじゃないの?」


 動揺し続けるレンは連発に質問した。それでも身体の鳥肌は消えること無く、未だ何とも言えない驚きが全身を巡っている。


「まぁそうですねよ。すいません。実はあなたを選んだのは、あなたが僕の音を聞き取ったからなんです。」

「音?」

「はい。鈴の音。どこかで聞いた事ありませんでしたか?」

「………あっ!そういえば、確かあった気がする。」


 あれは確か、いつぞやの夜だ。人生初の金縛りだったから覚えていた。まさか、あれが。


「はい!僕がしました!」


 シーナはニヘッと可愛い笑顔を見せた。


「本来は僕が兄さんを止めるのが一番良いんだけど、今の兄さんの心は黒瘴気で侵入を許さない状態なんです。」


 それから座った2人はシーナがここに来た本来の理由を聞いた。


「なるほど。それで俺に助けを求めたって訳だ。ん?お前ってもしかして幽霊?」

「うーん。そう言われると否定できないし、肯定も出来ないかなぁ。でも一つ断言出来るのは、シーナ・ライトという人間は既にこの世には存在しないって事。」


 飄々と話すシーナだが、その事実は酷いものだ。


 だとすると……。


「そんな悲しい顔をしないで下さい。」


 真実を悟ったレンを見てシーナは優しく微笑んだ。


「なぁ、教えてくれ。アーマに。お前達に一体何があったんだ。」

「……そうですね。では話ます。僕たち兄弟の過去を。」


 シーナはゆっくりと語り始めた。その壮絶とも言える過去を。


 ……


 ……


 ……


 話を終えたシーナはどこか満足そうに笑っていた。


 聞いたレンはアーマの真の想いを感じ、胸を痛める。だが、そう悲観している場合では無い。


 救わなくては。


 レンの気持ちはそれだけだった。


「話せて良かったです。」

「あぁ。ありがとな、シーナ。」

「いえいえ。…では、宜しくお願いします。」

「了解だ。」


 シーナの目にはうっすら光る物が見えた。


「レンさん。」

「どうした?」

「あなたの中には危険な物が潜んでいます。それはきっとあなたが今までに蓄積された後悔達でしょう。でも負けないで下さい。あなたには護るべき人と護ってもらえる人がいるのですから。」


 そう言い残してシーナは光の中に消えていった。


 遙か向こうから大きな光がレンを包んだ。


 ♢


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」


 瓦礫の残骸が広がる街を走るアイリとリヒト。


 教会前で対峙した2体の怪物を討伐した2人は、飛ばされてしまった地点から急いで教会へと戻っていた。


「なぁ。さっきの黒い光。あれってアテナって奴が戦ってた所だろ?大丈夫なのかよ。」

「大丈夫。アテナは強いだろうし、そう簡単にやられはしないよ。それよりレンが心配。」

「…だな。」


 アイリの横顔を見ながらリヒトも賛同し、レンの元へと急いだ。


「っ!!止まれ!!」


 突如。リヒトが叫んだ。


 その声に合わせ、アイリは急いで急ブレーキをかける。


 ズドォォン!!


 それは上空から何の気配も無く落ちてきた。


「なに…?」


 粗く立ち籠める煙の中に見えたのは、2つの影。


「っ!レンッ!」


 見えた訳ではない。感じた魔力の質がレンだったからだ。しかし、何か違う。


 ズオォォン!


 煙の中から何かが動き、その風圧で視界がクリアになる。そして現れる姿。


「「っ!!?」」


 2人共が声を失った。


 どことなくレンの面影を感じさせるその姿は、悪魔が本から出てきた様な威圧と畏怖を周囲にまき散らしている。


 黒い翼。身体に纏う様に浮遊する瘴気。胸に描かれた奇形の模様。それが上半身の半分を浸食している姿。さらにその内の1つが首から頬にかけて黒い模様を描いている。


 レンと思わしきその人物は、血だらけでボロボロの瀕死状態のアーマの首を掴み、持ち上げていた。


「レン…なの?」


 丁度アイリの近くに落下してきたレン達。アイリは恐る恐るに問うた。


「……。」


 だが、ソレから返答は無い。


 するとレンは首を掴んでいる反対の手に黒い剣を召還した。


 トドメを刺す気だ。


 直感的にアイリとリヒトは悟った。


「やめろぉ!レン!」

「やめてぇぇぇ!!」


 ……その思いが、声が届いたのか、直前で剣先は止まっており、レンはそこから動かなくなった。


 そしてその数秒後。異変が起きた。


「ガフッ…。ゴッホッ。」


 突然大量の血を吐血したのだ。さらに異変は終わらず、はだけた上半身から血が噴き出し始め、まるで限界が来たおもちゃの様にガタガタと震え始め、その場に倒れた。


「レンっ!」


 咄嗟にアイリはレンに駆け寄ろうとした。


 すると、レンの身体を纏っていた瘴気が弾け、それらが一気に胸元のへと吸収された。


 手を離されたアーマも同じくその場に倒れた。


「レン!しっかり!レン!!」


 力なく倒れたレンを抱き寄せアイリは必死に名前を呼んだ。


「んっ…ぁ、アイリ…?」


 声が届いたか、レンは目を覚ました。声と目に力が入っていないものの、生きている事に違いは無い。アイリは安堵した。


「良かった。大丈夫?戦いのこと、覚えてる?」

「えっと、俺は、確か……っ!」


 上半身を起こしていたレンは急に思い出すように自身の両手を見た。


 残っている。


 身に覚えの無い感覚が。


 肉を貫き、切り裂き、穿つ感覚がその手に残っている。


 残っているのに何故、覚えていない。


 レンの身体に恐怖が走った。


 全身の鳥肌が止まらない。冷たい汗が体中から噴き出し、震え出す。


 すると温かい空気がレンを包んだ。


 隣を見ると、そこにはアイリが回復魔法をかけていたのだ。


 その顔は不安一色。目には多少の涙が見え、そんな中でも必死にレンの傷を治そうと魔法を使っていたのだ。


 回復魔法は傷だけではなく、レンの心も修復したのだろうか。身体が軽くなった。


「ありがとう。もう大丈夫だよ。」


 レンは優しく微笑みかけた。その笑みを見てアイリもまた笑みを見せた。


 ドゴォォン!


 不意にレン達の前で瓦礫が破裂した。


「!!」

「っ!」

「……。」


 そこから現れたのはアーマ。


 レンとの戦闘で既にボロボロの満身創痍。恐らく残り魔力も少ないだろう。


 肩で息をしながら、足に掛かる瓦礫を掻き分けんがら、レン達の前に立った。


「満身創痍じゃねぇかよ。残念だが、相手は俺だぜ!」


 アーマの前に立ちはだかったのはリヒト。戦闘での傷はアイリに治癒してもらっている為、3人の中で一番の戦力だ。


「はぁ、はぁ、知るかよ。相手が、誰であれ、俺は戦う。」


 独り言の様に言葉を紡ぐアーマ。その目にはもはや誰の姿も映っていない。


「もう止めよう。アーマ。ここで俺達が戦う理由は無いんだ。」

「……。」


 立ち上がったレンはリヒトの肩を借りながら立つと、アーマに向かって言った。


「お前が戦う理由はもう知ってる。シーナ・ライト。お前の弟を救うためだろう?」

「っ!?何故お前がその名前を!?」

「色々あってな。お前の事も全部聞かせて貰ったさ。なぁ。こんな事もう止めようぜ。俺達がお前の味方を、助けになるはずだ!」


 レンは必死にアーマに声を掛けた。今なら届く。そう確信しているから。


「……お前に、早く出会えてればな…。」


 そう言ったアーマの声は心なしか優しい光を感じた。


「ここに居たか。」


 その冷たい声は突如となくレン達の頭上で響いた。と同時にいつもの重力の倍以上の重圧が覆い被さった。


「ぐっ!」

「動け、ない…。」

「おま、えは……。」


 そこにはレンとアイリにとって最悪の記憶。黒使団 第1柱ガミルがそこに居た。



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