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4 雨
世界の悲しみを、まだ覚えていた朝だった。涙みたいな雨が流れていた。その朝に、アリエは朝陽を浴びて、死を悲しむことを、そしてその夢にも似た鮮やかな明るい希望に、カーテンが降りた朝陽にいつも、いつまでも、いつまで経っても嘆きを悲しみ、夢の夜空に流した朝の鏡に似たあの朝を、アリエはいまも覚えている。
その日、アリエは死を知った。死を知ることもなく、そして死ぬこともなく、ただ、たそがーれに往く海辺のかなたで、いつかの日を奏でていたその夜に、夢は鏡の音を晴らせ、晴れ上がった希望の彼岸にいらっしゃる、アリエ。
朝陽が嫋やかな雨だれに似た夢の彼方で、死者を貴い死の雪影で国は作るのだろう。
「アリエさんは、いつ死んだんだ?」
と、イチはアリエに言った。その日、まだ月が落ちそうになる鏡の奥の夜空に夢はあった。




