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2 イチ
夢の間で回想が始まった。
「過去が始まった証でもあるのです。」
お手伝いの少年がそう云うこともなく、彼、エドワードは少年の口を閉じた。
「お前は余計なことを云わなくてもいい」
少年は口を閉じた。少し云い過ぎたかな? と軽く反省したのだ。
エドワードの年齢を知っているのはエドワードだけで、他には誰もいない。つまり、お手伝いの少年もエドワードの年齢を全く知らない。ただ、少年が覚えているのはまだ明るい光が見えたと思い気が付き眼を覚ますと、エドワードの屋敷で独りで死ぬ瞬間を待っていた。
「もう、ボクは死ぬんだ」
と、少年は感じた。しかし、エドワードがさえぎった。
「お前を待っていた。お前のことを、私は知っている。どうだ、お前がよければ私に仕えないか?」と、エドワードは死者の書を取り出して死者の書から少年の名を取り出した。
「ほう、お前の名前はイチというのか? 古風な名前だな」
イチ、最初に神が造った仔を、勝手にエドワードはイチと呼んだ。つまり、イチというのは真っ赤なウソだった。そしてイチはエドワードに仕えることになった。客が来た時に給仕する係りとして。




