Story 8
それもそうか。じゃあこのくだらないコントは後書きに移します!これからも、こうご期待!!ぇ(菊
「KaZさん。データ、ありがとうございました。」
役に立ったならいい、とKaZは笑う。RiSは存分に不機嫌だった。
僕が《父親の記憶》をニネチェルに転送したことが原因だ。彼女は冷たく言った。
「あの場で与えるのは不適切だった。あの子の為にならない。大体KaZ、あれはまだ先の仕事なのよ!介入するとはどういうつもりかしら?」
口調を早めるRiSをKaZは軽くたしなめる。
「・・・『Time is money』・・・いつか教えることなら、手っ取り早くいかなきゃいけませんよ。RiSさん。俺ならそうしますね」
一瞬黙ったRiSは矛先を変えた。
「いいわ。ReD、さっさと報告書を作るわよ。来なさい」
彼女の言葉には、圧迫するような力があった。
最初に来た会議室に連れ込まれた。辞書のような分厚い本を広げ、鉛筆を用意された。
「ここに手書きで書いて。特殊な鉛筆でデータ化しやすいステフにスキャニング出来るインクだから」
「え、この分厚い本スキャニング出来るんですか?始末書みたいな雛型の紙だし・・・」
わざとらしいReDを睨むRiSはまだ怒ってるらしい。早く書けとばかりに鋭い視線を向ける。
これはさっさとやった方が利口だと判断したReDはサクサクと書き上げ、自分のコードネームと任務内容を書いた所で手が止まった。
結果の欄が分からず、記入出来ないのだ。
それを素早く察知したRiSはスッと鉛筆を取りこう言った。
「結果の記入はしておくわ、後は帰っても良いわよ。お疲れ様」
「は、はぁ。お疲れ様です」
いきなり帰って良いと言われ少し驚いたが、もう5時なのをステフを見て気付いた。
おずおずと会議室のドアをゆっくりと開け、外に出てお辞儀をするとまだKaZが残っていた。
「おぅ、お疲れ小僧。帰るのか?一緒にどうだ?」
帰る気満々だったのだが、結局引き留められた。
僕が人混みが苦手なのが解ったのか「悪いな」とKaZは謝ってきた。
談話室には、十数人が自由なポーズで寛いでいる。
一番目立つの中央の柱だ。柱とは名ばかり、何十もの小さなディスプレイが 敷き詰められて、まるでガラスの巨木のようになっていた。
つか、何から何まで真っ白じゃねえか・・・
「すっげ・・・」
思わず口が開いた。MIBかよ。ここ
柱を取り囲むようにソファーが円を描いている。その一角でKaZが手招きしていた。
「明日から好きな格好で来い。動きやすさが最優先だ。今日は皆スーツだけどな」
座った途端にそう言われたので、僕は戸惑って返事が遅れた。
「・・・あの、やっぱり、僕にはこういうはちゃめちゃな仕事って」
まずいことを言ったと気付いた。KaZが眉を潜める。
「嫌なのか?この仕事」
じゃなくて、と弁明しようにも落ち着かない。広い談話室には僕らの声しか響いてないからだ。
「誰でも初めはそうだよ。実感がないから仕方ないけどな――4番モニター、ニュース番組やってるやつ、見てみろ」
僕は彼の指が示すほうに視線をやった。
《世紀の同時発見!新説確定か?イムホテプの石盤》
右隅のテロップに驚いた。
「イヤホン付けて」と、KaZが渡してくるイヤホンを慌ただしくとり付ける。
『・・・の発見された石盤は2種類あり、年代は違うものの、片方は史上初めてピラミッド建設に携わったイムホテプの時代のものとわかり』
学者みたいな人が抱えているのが、あの石盤・・・・なのか?
『もう1つの石盤にはニネチェルという人物の名が』――夕方によく見かけるキャスターが話しを続けている。
僕の隣には真顔のKaZがいた。
「今、全てが起きているのは、お前とRiSがそこにいたからだ」
続けて僕に聞いてくる――やってくれるよな?と。
その問いに僕は何とも応えられなかった。
と、思う。