Story 5
いや、前書きだから!後書きに書くならまだしも・・・(千
RiSはReDより大きな声が少年の家の外から聞こえる事に気付いた。
「え、何処から聞こえるの?この怒声」
「外からだよ。僕の悪口を大声で言うんだ、皆は僕の事がキライなんだよ」
悲しくなった。
こんな小さな少年が何をしたのだ。・・・確かに生意気だが。
「少し外に出ましょう」
RiSも頭にキタらしい。納得いかない様子で外へと促す。
「あー、王の狗がお出座しで。どうかなさいまして?へへっ」
「っ!このやろっ!やめろっ!その手を退かせ!」
少年を茶化し、馬鹿にしながら頭を撫でて来ようとした、ここの集落の長らしき男性に少年は手を出そうとした。
それを僕は咄嗟にーーー
「ダメだっ!」
と、叫んだと同時に少年の手を止めて、少年が受けるはずだった拳を背中に受けた。
「何しやがるっ!」
少年が怒声をあげる。ビックリしたのは僕だけじゃなかった。
僕を殴った男はその場に固まってしまった。
「・・・!?」
これが『狐につままれた』ってカンジなのか?僕含め、顔が。
一瞬だけ、人々は静まり返った。
「な、何だ?分からんが、また調子乗るなよっ!」
と、捨て台詞を吐きながら去っていく男。そいつらの気配も離れていった。
「・・・っと、説明が出来るわね。実は私達、君以外には見えてないし声が聞こえないのよ」
「やっぱり。じゃあ、触れるのに気付かなかったのはそーゆー理由なんですね」
「まぁ、そうね」
さっぱりとした言い様で肯定してくれた。
いつの間にか少年の姿がない。家に戻ったのだろうか?
奥にいる少年を見ると、目がムッと僕を見た。
「どうしたんだい?」
「ーーーお前らも僕を変わり者扱いするのか」
低く、よどむような声だ。
「何でそんなに人を拒絶するんだ?」
「拒絶したのは向こうだろ!」
そう言いながら両手を広げる少年。
「君に何があったんだ?」
僕は優しく問いながら近付いた。
「お前なんかにわかるわけがない!よそ者のお前らなんかに・・・」
それから少年は目を固く閉じてしまった。その腕が微かに震えている。
僕にはその理由が分かった。
「君が、よそ者って言われたんじゃないか?だから、僕を睨むんだ。」
少年の目は僕を睨むんじゃない、『よそ者』という言葉を嫌っていたんだ。
「だから、わざと誰かにそう言うんだろ?同じ気持ちを感じて欲しいから・・・違うかな」
少年が「うるさい」と小さく反抗する。
僕は迷った。何て言えばいいのかわからない。
「だけどさ、僕らに水をわけてくれた君が本当の君だと思う。やっぱり君は」
「黙れ!黙れ!違うってんだろ!」
少年は、僕の服を激しく掴んできた。僕はそのむき出しの肩に手を乗せる。
「もういいよ、我慢しなくても」
ふっと、わめくのを止めた少年は、涙を滲ませた。
「誰が我慢なんかするか!こんな奴に・・・っ」
僕の服の裾を引っ張ってるのに、こいつはやっぱり生意気だった。そのくせ僕は「なんとでも言えよ」としか返せない。
こういうのって、RiSさんのほうが得意そうだと思った時だった。
「ReD、日が暮れる。行くわよ」
外から彼女が呼びかける。少年の体がサッと僕からはがれた。
「女に惨めな姿は見せたくないんだよ!」
そういうところが生意気過ぎなんだよ!いくつだ、お前は!!