Story 4
うん、いっそこのまま感想書いちゃえ!(菊
RiS(様)を日差しから守りながら、人気を探して歩き続けた。
空気はカラカラで暑いし、砂地は歩き辛い。
こんな事ならスーツや革靴なんて置いて来れば良かった。
まさかエジプトに来るとは想像もつかないが。
「今回のミッションは、ターゲットにレクチャーする事らしいわね」
「らしいって・・・定かじゃないんですか?」
と、僕は汗を拭いながら振り向いた。
「え、RiSさんその恰好、随分軽装ですね」
さっきまでパンツスーツスタイルだった彼女は、ノースリーブになっている。
しかも脚が出ている!スカートだ。
「何ジロジロ見てるのよ、下に着てたシャツワンピよ。
あなたも暑ければ脱げば?」
「え、脱ぐって言ったってこんな所で・・・、てか、さっきの服は?」
「脱いでみれば分かるわ」
と、言われたので絶対服従の気分で素直に脱いでみる。
ようやく暑さから解放される、と考えながら脱ぐと・・・
「え!手放したらたら消えましたよ、RiSしゃん!!」
あ、暑さで呂律が・・・。
必死に笑顔を作ってみたが、気まずさが増した。
「『しゃん』・・・?あにゃたねぇ!!あっ」
RiS様も頭と暑さにキテるらしい。
一瞬止まったかと思うとRiSは顔を背けてた。
「・・・まぁ、どんな姿してたって見えないし、聞こえないわ・・・キャッ」
「何してんの、おねいちゃんたち」
不思議な現象続きに内心舞い上がっていた僕は、2つの高い声で我に返った。
「君、私達が見えるの?」
「うん。ちゃんと目はあるからね」
にっと笑った少年は、自分の目を指で示した。
赤く焼けた肌と真っ白い歯。その子の瞳は緑だった。
暗ぼったい色だけど、全く陰気さはない。
「キレイなおねぇちゃん、水足りてないんだろ?やるよ」
持っていた壺を差し出してきた少年に、RiSはこう言ったのだ。
「ありがとう、いただくわ」
そう、『ありがとう』とーーー確かに
僕の聞き間違いでなければ。
「・・・RiSさん、この子ヤバいんじゃ」
何とか出せた言葉への答えはこう、
「こんな可愛い子の親切を無駄にするの?」
「いや、そう言う訳じゃ・・・」
気付いたら少年は僕をジッと見つめていた。睨むかの様に。
RiSさんは子供が好きなようで、先程より和やかに見える。
「こんな所で一体何してるの?」
「飲み水の確保しとくんだよ、僕一人だからそんなに必要じゃないけど、一応ね」
「えっ、一人?」
僕の問いかけに、少年は一瞬口をつぐんだ。
「・・・まぁね」
何か生意気だ。明らかに僕を敵視している。
「あんたら、よそ者だろ?村に行きたいなら僕は使えないぜ」
「いいえ、村なんかどうでもいいの。あなたが今から行く先に用があるの」
RiSさんの食い気味の発言にビックリする少年は、さらに生意気度を加速した。
「付いて来るのは構わないけど、後は保証しないよ?・・・特に後ろのにいちゃんは」
僕、何かしたか?
それから少年の家に付くまで、また歩き続けなければならなくなった。
二人が話しているのを傍目にしていると、何時間も経ったように感じた。
RiSさんから内緒声でヒソヒソと少年に聞こえない様に話された。
「ちょっとステフを少年の額に一瞬で良いからかざしてみて」
「ん・・・?ステフって何です?」
素朴な疑問だ。
「ステフについても聞いてないのかーー全く、KaZには期待出来ないわね」
ステフとはDMJ-8の愛称だ。
僕の時計は万能で、言う事に従っていれば何とかなる。
まずは、ベースを決めなくてはならない。
ベースとは、セーブとかリロードとかが出来る便利なスポット。
必要不可欠。ただし、スポットを決めると行動する範囲が限られるそうだ。
それにしてもKaZさんは本当に僕に何も教えてくれなかったんだな。
でも、若干拒否られてる僕がどうやって少年に近づくんだ?
あ、すれ違い際に然り気無くやってみるか!
「・・・ごめんよー」
コソッと言って少年の前を通り過ぎた。
その時さっと額に一瞬だけかざす、
と言うよりステフが額を一緒に通り過ぎた。
すると、今まで無かった文字盤が浮き上がり、中心が点滅している。
ん?どゆこと??
「点滅しているのはあなたの場所を示しているの。中心はベースでありスポットの少年くん。勿論私も表示されているわ」
「ベースって人でも可能なんですか?」
「出来るけど、そのミッションのターゲットに近い人物又はターゲット自身ね。今回はターゲット自身よ」
「・・・えっ!少年がターゲットなんですか!?」
いきなりのネタばらしに、つい大きな声をあげてしまった僕にRiSさんは小さな声で冷たく、
「声が大きいわ」
と囁いた。