Story 3
・・・サブタイトルを感想と間違えているよね?私達(千
「やっぱりダメか・・・タイムオーバーになるわ。左手を貸して頂戴」
は?
RiSは何を諦めたのか、椅子から立ち上がるや、硬直していた僕の左手を引っ張った。
ぐいっと体が引き寄せられると、RiSと向かい合った。間近に彼女の顔!
もうもう全く頭がついて行かない!
「・・・目を瞑って、まずはそこから始めましょう」
「え・・・!?」
な、にゃに!?手!今、握られてんだけど!!
こ、この展開は!?あれか!?つかどれだ?
(この時の僕は、今考えてもバカ丸出しだったよ)
よ、よ、よし、目を瞑ってみるか・・・。
「さ、準備はいいわね。・・・飛ぶわよ!」
「・・・は、は、はい?」
(うん。最低だった)
「OK、開けていいわ」
「へ?何を?」
「理解力あるの?目よ目」
「だ、だってRiSさん何もして来ないじゃないっすか」
・・・。
「あなた社会人一日目にして何を想像してたの?」
「・・・すみません、開けま」
反論はしまいとおそるおそる目を開けようとした。
だが、そんな事より僕は思わず叫んでいた。
「 燃 え る ! 」
いや、ただあつかっただけだ。
そう、焼けた砂を握った様に。そう握った様に。
・・・握ってるんだよ、正に!
「あ゛っづ!RiSさんが砂になった!」
「そう。ぐずぐずしてたら、ミイラになるわね」
「あれ?後ろに居る!てか暑いし、手がメッチャ熱い!やめて下さいよ、酷いじゃないですかっイジメなんて」
「理解力に加えて観察力も乏しいのね。焦げる前に周りを見てみなさい」
そう言われて初めて、冷静になり目を凝らした。
あらビックリ☆青い空、白い雲、そしてどこまでも続く砂丘。
・・・砂丘?360度全て砂だと・・・?
「どこすか、ここ」
まるで機械音みたいな声だ。
「東経29.9752587度 北緯31.375674度よ。平たく言えばエジプトね」
「エジプト?うそでしょう」
本当、機械音みたいな声だよ。
「横を見てみなさいよ」
横を見た。砂岩みたいなのそばにあるだけ、自然と顔が上向きになる。
デカイな。デカすぎてわからないけど・・あれって顔なのか?
RiSはというと、空を見上げるその瞳には何の迷いもなかった。
涼しげな表情。やはりこの人にはリーダーの風格。
「前を向いてまっすぐ行けばいいわ」
意味深な言葉だ。初めての僕を気遣ってくれてるのだろうか。優しいところもある。
「あなたが先に進んでくれないと、私が日に焼けちゃうじゃない」
「ん?あぁ、そうですね。こんな砂漠じゃ僕しか日陰が―――――――って
あ゛ぢ ぃー―――――― ! 」
RiSへの理想像が崩れた瞬間だった。
「男なのにだらしがない。新人君、これしきレディの為。耐えなさい」
「はい・・・」
二度とRiSを甘く見ないと決めた。何がなんだか分からないが、今日一日は耐えてやる。
歩きだして少し経った。振り返った僕は、現実と向き合わなきゃならなかった。
「アレ、スフィンクス・・・だったのかよ・・・」
信じがたいが、会社の誰も嘘は言ってないんだ。