Story 2
サブタイトルの意味やっと分かりました。
僕の職場になる扉の前に着いた。
今になって、ドキドキしてきた。
意味不明な会社だろうと、僕は新社会人だ。人生で初めての職場だ。第一日目だってやりきらなくては!
「ここがReD、君の職場だ」
・・・緊張するーっ。
ドアノブのきゅっと鳴る音と眩しさに少し目を細める。僕は少しばかり幻想を抱いていたのかもしれない。
そして、空いた瞬間僕の目に飛び込んで来たのは・・・金色。
「KaZ、遅いわよ」
誰かが喋った。
「ごめんごめん、RiSさん、そんなキレイな顔で怒んないで。
新人君に説明するの梃子摺っちゃって」
「あら、KaZらしくないわね」
高い声、低い目の位置に金色、整った顔立ち。
驚いた。こんな近くに西洋人形が・・・。
違う違うっ人間だ、人間なんだよ!
「ReD。RiSさんだ。ミニッツハンド、チームリーダーの事だ。」
「えっ!マジっすか!?」
つい、戸惑いが口調に出てしまった。
「ですって、RiSさん。やっぱり17歳は年相応な格好をしてたほうがいい。」
「17歳って・・・っ」
鋭い目がKaZを一瞥した。
「・・・そうよ。質問はそれだけ?」
文句でもある?とでも言う様な素振りのRiSと意外過ぎてぽかーんとなる僕。
17歳だろ?この美貌だろ?でもってチームリーダーって完璧過ぎないか?
いや、もうこれ以上何も詮索しまい。深みに嵌まりそうだ。
「いいわ。今から私が研修担当を請け負います」
RiSの声が響く。
「KaZ、この会社は時間こそが利益なの。あなたは私の代理で契約に出てちょうだい。」
「RiSさん、ちょっとばかり身勝手じゃないですかね?」
彼女の一声でKaZが指導官から外された。僕を見ながら、KaZは肩を竦めた。
"気を付けろ"とか、"耐えろよ"とか言いたげだ。
最初から少し気持ちがギクシャクしてしまった彼女と研修・・・。
気まずいが、今日一日は頑張る他ない。後は後だ
「あ、れ、れ、ReDと言います。よろしくお願いします、RiSさん」
「・・・よろしく」
意外と人見知りなのか、視線が一瞬で僕から外れた。気はマジ強そうなんだけど。
「この後、現社員には本社からの指令と打ち合わせがあるから、邪魔にならない奥のブリーフィングルームでやりましょう。時間厳守よ」
「はい、分かりました」
うん、ONとOFFは切り替える人のようだ。
なるほど、そこさえ押さえれば、RiSとやっていけそうな気がする。
古臭い会議室とギリギリ読める個室にRiSに続いた。
それにしてもRiSは容姿端麗。金髪のロング髪を揺らして整った顔立ちを隠したり出したりしていた。
ただ、17歳らしいのは身長だ。細身の体にまだ育成途中といった感じの体系。150くらいの小柄な身長も相まって保護欲をそそられる。
きっと素顔なら可愛らしいんだろう。だが、顔が引き締まり美人といった雰囲気だ。
本当に西洋人形のような可愛らしい感じの少女なのだ。
(少し語り過ぎたな。それくらい目を引くんだ)
だが、仕事は仕事。初仕事なのだ。と頭を振り切った。
木製のドアの向こうはつまらないほど、ありきたりな会議室だった。
「普段なら私は出動しないのだが、今回は特別だ」
と言ってRiSは近くの椅子に腰掛ける。
「特別?」
「そうよ。だって誰もが指導出来る仕事じゃないでしょ?組むのが新人ならとても・・・ね」
ん?どういう事だろうか?と考えながら、KaZの行っていた事を思い出していた。
ミサイル・・・。 飛ぶ・・・。 クライアント・・・。
もう普通じゃありえないことばかりで。
「二人とも、現代に帰って来れるかも危ういし」
・・・へっ?
僕は今、人生最高にアホ面をしていると思う。
「あら。まさか何もKaZからきいてないの?KaZったら服務怠慢ね」
勇気を持って聞いてみる、「何をですか?」と。
「タイムトリップ。私達は時空を飛ぶの」
「・・・はい?」
「それが仕事よ」
と、言って彼女は左手を宙にかざす。