File 2 Story 6
※この作品はドラ○もんのオマージュではありません。
そんなこんなで船へ乗ってしまった。
二人で甲板に立ち、シャツの裾を靡かせて海を眺めていると、KaZがバクダン発言を放った。
「俺の思惑通り、インド行きだな!すまんな、俺の気紛れというか、個人的な趣味に付き合わせて」
「・・・気紛れだったんですか?てか、シュミ?(その前に思惑通りって)」
「そう!俺の趣味はスパイス集めさ!本場でスパイスに触れあえると思うとワクワクする!」
「・・・。」
。
。無言タイム
。
KaZさんへの見方が少し変わった後、船はインドの港へと着いてしまった。
え?話が早すぎるって?
船の中でのことは聞かないでくれ、察してください。切実に。
さて、着いたのはいいのだが、完全にKaZの趣味が全開だ。
朝市でスパイスをあさり、貴重なスパイスがあると聞けば、何処へでも行く気満々である。
僕はというと、帰社を急かしては散々に懲りていた。
そこでKaZが有力な噂話を耳にしたという。
「山の向こうには、古い寺院があってな・・・そこに不老不死を得られるという世にも稀なスパイスが秘蔵されているらしいぞい」
道端に座り込み、怪しい老人の話に聞き入っていたとみるや、コレ。
既に嫌な予感しかなかったのに、更なる不安がのしかかった。
「おーい!ReD、何処行くんだよー?迷子になっても知らねぇぞー!」
(なんなんだろう、僕)
とReDは考えながらキョロキョロして道から外れようとしていた。
肩を掴まえてくるKaZに振り回されること幾日・・・。
それは長い長い旅だった。山と谷を幾度とこえ、数日がかりでやっと目的の寺院へたどり着いた。
「さぁ、ここだ」
ニコニコと疲れも見せないKaZはReDの首根っことらえ中へ入ろうとする。
「さすがに無断侵入はダメですよ!」と、止めるが無視。
ズカズカと入っていく。
「すんませーーん!」
「ちょっ、KaZさんっ」
すると、キレイなおネエサンが出てきた。
驚く二人を前に、首をかしげる美女。
「どうしました?何かご用ですか?」
気品がある声に思わずカタくなるReD。
そんなことを気にもしないKaZは目的の品の話をはじめる。
すると美女は「何の話ですか?知りませんよ、そんな夢みたいな話」と眉をひそめる。
ReDは安心て「そうですよねー」と愛想笑う。
KaZはむっとして切り札をかざした。
「俺、知っているんですよ・・・ココが何をしているのかも、あなたが何を欲しがっているのかも」
「「えっ?」」
ReDはといえば、いつの間に?ならこの美女何者?と。
かたや美女は、なぜそれを?この青年何者?と動揺を隠せない。
「あなたはココの庵主様ですよね?ですがあなたのお心は優しすぎて使用人をコキ使うのは心苦しかった。違いますか?」
「なぜ・・・そんなことを・・・」
KaZは微笑を返しながら「少し耳に入っただけです」と呟やいてキメた。
「そこで交渉です。ココでは例のスパイスが生産、調合、保管されていますよね?それとお掃除大好きドMな彼を、コーカンしませんか?」
「はあ?」
呆れて
「なんでたよ!この展開、おかしいだろ!?」
ついタメ口になっている。震える声で美女が呟いた。
「心を読まれたっ?というより今の話は本当なの?」
KaZは美女の声だけを聞き取り「本当ですよ!ですからスパイスをわけてください!お嬢さん!」と膝まずいて手を差し出す。
「・・・本当ですか?お掃除大好きというのは!」
「はいっ!なっ!ReD!」
と、KaZに足をつままれたReDは、美女に見とれていた目を彼に移した。KaZは強い瞳で訴えている。
まるで脅迫されているようだ。
「は、はい。ダイスキデスケド・・・」
言ってしまってから気付いた。
「よく言った!これで交渉成立だ!」
「ええ。喜んでスパイスを渡しましょう」
自分から大変な事態を招いていることに。
(僕は使用人でコキ使われるの?一生!?そんな!こんなんあり!?)
嘆いても後の祭り。不覚ながら返事をしてしまったし、二人は遠くでスパイスの話で盛り上がっていて聞く耳もない。
「なんなんだ―――――――!」
この叫びは誰にも届かない。
えっ?この頃展開が急過ぎるって?
作者が飽きてきたというか、我慢出来なくなってきたんじゃないかって?
・・・正解だっ!←
次回も期待してくれよなっ!




