封じられた過去 その6
南条 列、パトリック・レドガーは転校生エドワード・ダイブとランチを食べていた。[エドワード。席を取っといてくれよ。サーテ………スーッ………オバチャーン!いつもの。ハンバーガーにポテト!バンズはウエルダン。塩多めのケチャップ付きで!][………角煮定食。大盛りで煮玉子抜き][僕は………トリプル豚まんで辛子付けて]
[さあ、飯だ飯だ。ハー………このバンズの焦げた香り。最高だな][……今日はあまり煮えてない。任務失敗だ][僕のは中が凍ってる。でも、いけますね。コレ]
三人は食堂で飯をほうばっていた。
[ところでお二人はなぜカオス予備軍に?][………俺は、パパ様の真似をしたくないだけだ。レドガー財閥の息子なんて言われたくないから][グフッ………俺か?そうだなー。………旨い飯にありつけそうだからだ。貧乏だから。うちは。実際、今だって旨いハンバーガーにありつけたし、昨日は先生に豚まんご馳走になったし。そんなもんだ][………そんな簡単な理由でカオス予備軍に?][そうゆうお前はどうなんだ?エドワード。カオス軍に理由など無いだろう。ソーサラー達を叩きのめす。終わりなき戦いに理由などいらんと思わんか?][………僕の故郷は無いんです。ソーサラー達に滅ぼされましたから。女、子供別け隔てなく滅ぼされましたから。たった一人、船に乗り、遠い親戚を訪ねたんです。行き着いた場所がこの学園だった。ただそれだけです][それでカオス予備軍に。………大変だな][でもさ、エドワード。その………言うのはなんだけど、仮にそのソーサラー達を殺ったとするよな。で、………そのあと故郷は帰ってくるのか?死んでいった奴等とか][戻る訳も無いですよ。無いですがね][エドワード言うな。列。パパ様がこんな話をしていた。人間は野蛮な生き物だと。夢の続きが人の精神にソーサラーと言う魔物を産み出したのだと。我々、人の心を浄化するカオス軍もそうだが。いずれにせよ全体の9割はソーサラーなんだと。残り1割足らずがカオス軍なんだと][………そうか。だから俺の親父はソーサラーなのか?][なんだって?列!本当か?][列君のお父さんが?][………いや。隠すつもりはなかった。僕も昨日知ったんだ。ソーサラーの児だと。それにシルバーオックス。あれは双子の兄だと][……なんて事だ。俺の幼馴染みがソーサラーの児だと?まさか][さっきのパトリックさんの話だと、あり得ない話じゃないですよ。もしかしたら僕の故郷も誰かがソーサラー軍に密告したから滅んだのかも知れないですしね][………そうだな。俺達の進む道の先に何があるのかわからないしな]
[アア、君達。仲良くやってるか?][先生。何か?]列が振り向く。[すまんな。我々も知っていたがインパクトが強すぎる。いずれ時が来るだろうと思っていたが。まあ、その時は全面的にバックアップしよう。隣、空いてるか?][先生。スパイダーって、どこにいるんです?会って話したいです。父親と][列。こっちも人を預かる立場なんだ。易々、教えられるか?][………先生から見て、今の僕らは………][立派にやってるよ。昨日だってそうだ。会社に立て籠った日本刀のサラリーマンを止めたではないか?だが、それとスパイダーとは違う。格がな。安心しろ。お前がいる限り奴が攻めてくる事も無かろう][………そうなんだ。こっちが動かなきゃ父親には会えない。そうでしょ?][………列。俺は賛成できないな。おそらくみずほやエドワードも][………そうか。そうだよね。ゴメン]
[アア。そう言えば午後から緊急任務があるんだ。昨日の被害者だがな、まだ安定していないらしい。護衛をお願いしたいんだ。またソーサラーに狙われる前にな。やってくれるか?報酬は倍額出そう。それにバックアップも][アア。任せときなよ。先生。昼寝でもしててくれりゃーチヤチヤッと終わらせるから。行こうぜパトリック][アノ〜………僕は?][カーッ…………肝心な時に姫様はいないんだよなー][来てくれるか?エドワード][ハイ!お願いします。先輩方!][サア。今日も一丁かましたるか!][無線は繋いどけよ!お前たち]
そうだ。僕らには戦う理由なんて無かったんだ。ただ人間の心を守りたい。それしか無いんだ。
[学園長。逞しいですな。最近の若者は][フム。時代がそうさせたんだろう。あるいは人間の精神が彼等を引き寄せる。良い傾向ではあるかな]学園長は煙草に火を着けた。[我々もウカウカしてられませんな]
封じられた過去 完結
次回、メタルハート




