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死に戻りルイ16世、ギロチンを回避する

作者: ひろ
掲載日:2026/07/09

 「うわあぁぁっ!!!」



 今まさにギロチンで自身の首を落とされようという瞬間、過去へ飛ばされたルイ16世。

 時はフランス革命より10年前。気がつけば寝ていたベッドから飛び起きて、寝間着は寝汗でグッショリです。


 「今のは夢か?...いや、10年後の余の末路か!」


 大変察しの良い王様。

 そこから彼は悲惨な未来を回避するために...


 「ふんぬっ! ふんぬっ! ふんぬっ!」


 必死に体を鍛え始めました。

 ...何故に?


 「要はギロチンに負けぬ体を作れば良いのじゃあっ!!」ふんぬっ! ふんぬっ!



 どうやら王様、死に戻りの際に、対価として神様に知能を多少いただかれてしまった模様。


 神様。そこはむしろチート付与イベントなのでは無いでしょうか?

 

 「馬鹿言っちゃいかん。神たるワシが死に戻りの秘術まで使ったのじゃぞ? 対価を求めこそすれ、何故にボーナスまで与えんといかんのじゃ?」


 ...さもありなん。



 「余を見くびるでない。余とて鍛えたところでギロチンの刃に勝てるとは思っておらぬわ。」


 あ、そうだったんですね。失礼しました。


 「要はギロチン台に収まらぬくらい首を太くすれば良いのじゃあっ!!」ふんぬっ! ふんぬっ!


 あぁ、やっぱり持っていかれてますね。





 兎も角、身体を鍛えまくる王様。日々マッシブになるボディに自信もみなぎります。

 そのうち未来とかもうすっかり忘れて、毎日鏡の前でウットリ。


 やがて周りも「あれ? 最近王様カッコよくない?」と感化され始めます。

 王様とはファッションリーダーでもあるのです。


 「俺も」、「わたしも」、「「ああなりたい!!」」

 国を挙げての筋肉祭り。

 わっしょい、わっしょい。もう止まらない。


 そして筋肉といえばタンパク質。

 「肉を、魚を、豆を、もっとタンパク質を!!」

 の大合唱のもと、小麦畑は豆畑や放牧地へ、海には魚を得ようとする漁船で溢れます。

 わっしょい、わっしょい。




 やがて迎えた1789年。フランス革命の年。ヨーロッパ全土を大冷害が襲います。小麦が穫れず、飢饉に喘ぐ諸国。

 だけどフランス国民はどこ吹く風。

 豆、肉、魚が彼らの命を繋ぎます。寧ろ更にマッシブに。全国民、鏡の前でウットリ。


 「パンがないならプロテインを飲めばいいじゃない。」

 マリー・アントワネットのお言葉に国民はいたく感動。


 

 もはや救国の英雄と名高いルイ16世。

 筋肉王としての名声は高まるばかり。フランス革命など起きるはずもありません。

 そして王から皇帝へ。筋肉皇帝による筋肉帝政の始まりです。

 ツッコミ不在で沸き上がる国民。

 わっしょい、わっしょい。


 こうして生まれた筋肉帝政フランス。

 そして長く続いたルイ16世治世の繁栄を継いだのは2代皇帝ナポレオン•ボナパルト。

 山脈をバックに白馬を担ぎ上げる絵姿が余りに有名な彼の勇姿に、誰もがさらなる繁栄を確信しました。

 

 しかし、己の筋肉を過信する余りパンイチでロシアに挑んだナポレオンは、見事冬将軍に敗北し失脚。


 「筋肉だけで国のトップを決めては駄目だ」という当たり前のことに気がついた国民の士気はトレーニングを止めた筋肉のように急速にしぼみ、筋肉帝政は僅か二代で終演を迎えたのでした。




めでたしめでたし


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