死に戻りルイ16世、ギロチンを回避する
「うわあぁぁっ!!!」
今まさにギロチンで自身の首を落とされようという瞬間、過去へ飛ばされたルイ16世。
時はフランス革命より10年前。気がつけば寝ていたベッドから飛び起きて、寝間着は寝汗でグッショリです。
「今のは夢か?...いや、10年後の余の末路か!」
大変察しの良い王様。
そこから彼は悲惨な未来を回避するために...
「ふんぬっ! ふんぬっ! ふんぬっ!」
必死に体を鍛え始めました。
...何故に?
「要はギロチンに負けぬ体を作れば良いのじゃあっ!!」ふんぬっ! ふんぬっ!
どうやら王様、死に戻りの際に、対価として神様に知能を多少いただかれてしまった模様。
神様。そこはむしろチート付与イベントなのでは無いでしょうか?
「馬鹿言っちゃいかん。神たるワシが死に戻りの秘術まで使ったのじゃぞ? 対価を求めこそすれ、何故にボーナスまで与えんといかんのじゃ?」
...さもありなん。
「余を見くびるでない。余とて鍛えたところでギロチンの刃に勝てるとは思っておらぬわ。」
あ、そうだったんですね。失礼しました。
「要はギロチン台に収まらぬくらい首を太くすれば良いのじゃあっ!!」ふんぬっ! ふんぬっ!
あぁ、やっぱり持っていかれてますね。
兎も角、身体を鍛えまくる王様。日々マッシブになるボディに自信もみなぎります。
そのうち未来とかもうすっかり忘れて、毎日鏡の前でウットリ。
やがて周りも「あれ? 最近王様カッコよくない?」と感化され始めます。
王様とはファッションリーダーでもあるのです。
「俺も」、「わたしも」、「「ああなりたい!!」」
国を挙げての筋肉祭り。
わっしょい、わっしょい。もう止まらない。
そして筋肉といえばタンパク質。
「肉を、魚を、豆を、もっとタンパク質を!!」
の大合唱のもと、小麦畑は豆畑や放牧地へ、海には魚を得ようとする漁船で溢れます。
わっしょい、わっしょい。
やがて迎えた1789年。フランス革命の年。ヨーロッパ全土を大冷害が襲います。小麦が穫れず、飢饉に喘ぐ諸国。
だけどフランス国民はどこ吹く風。
豆、肉、魚が彼らの命を繋ぎます。寧ろ更にマッシブに。全国民、鏡の前でウットリ。
「パンがないならプロテインを飲めばいいじゃない。」
マリー・アントワネットのお言葉に国民はいたく感動。
もはや救国の英雄と名高いルイ16世。
筋肉王としての名声は高まるばかり。フランス革命など起きるはずもありません。
そして王から皇帝へ。筋肉皇帝による筋肉帝政の始まりです。
ツッコミ不在で沸き上がる国民。
わっしょい、わっしょい。
こうして生まれた筋肉帝政フランス。
そして長く続いたルイ16世治世の繁栄を継いだのは2代皇帝ナポレオン•ボナパルト。
山脈をバックに白馬を担ぎ上げる絵姿が余りに有名な彼の勇姿に、誰もがさらなる繁栄を確信しました。
しかし、己の筋肉を過信する余りパンイチでロシアに挑んだナポレオンは、見事冬将軍に敗北し失脚。
「筋肉だけで国のトップを決めては駄目だ」という当たり前のことに気がついた国民の士気はトレーニングを止めた筋肉のように急速にしぼみ、筋肉帝政は僅か二代で終演を迎えたのでした。
めでたしめでたし




