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ターゲット発見!

 Cビルの敷地は、研究所の所員から警備員・警察官・運送会社・軍の兵士まで、様々な職種の人間がわさわさと動き回っている。

 人間の避難が最優先だが、攻撃が始まる3時間後まで動かせるものは全て運び出そうとしているのだ。


 俺とMr.Jは、モニターで車外の様子を確認し、トラックの外へ飛び出した。

 博士を救出してくるのは俺たち二人で、Mr.Bはトラックに残り、我々との連絡や博士とすれ違いにならないよう監視する役割になっている。


 俺たちは、正面玄関から堂々と入っていった。

 一階のフロントもごった返している。

 軍の兵士の格好をしているせいか、呼び止められることや、身分証の提示を求められることもなくビルの内部へ入り込んだ。


 人ごみの中を真っ直ぐ非常階段へ向かった。

 こんな時はエレベーターは使わない。これだけ混乱しているとエレベーターはまともに動かなくなる。もちろん、階段も混雑していたが、普通ならば狭く急な造りになっている非常階段が、幸いこのビルは大型物品の搬入が多い研究所用として初めから設計されていたのか、かなり広く取ってあり、エレベーターを待っているよりはるかに早い。


「ただいまより、地下へ浸入する」

 耳にセットしたイヤホンにMr.Jの声が聞こえてくる。

「了解」

 俺の声は、喉の近くに取り付けたマイクを通してMr.Jの耳に聞こえているはずだ。


 俺たちは、アイコンタクトで進む方向を確認し、下りの階段に向かった。ターゲットは地下5階に軟禁され、強制的に研究をさせられていることになっている。


 普段なら人っ子一人いない非常階段だが、まさに非常事態なのか、様々な人が大きな物を抱えて右往左往している中を通り抜け、地下5階まで辿り着いた。

 このフロアも他の階と同じだ。普通ならば締め切って特殊なIDカードが無ければ入れない扉がすっかり開放され、沢山の人間が荷物や書類を持って走り回っている。


 博士のラボは、情報によればこの廊下の一番奥の部屋のはずだ。

 俺たちは、博士を探して廊下を進み始めたが、一番奥まで着く途中で思いがけなく目標を発見した。


 いた!クリス博士だ。


 廊下で研究所の所員と思われる人たちに、物品の搬出を指示している。赤毛の熟女、間違いなくクリス博士だ。


  Mr.Jも博士を認識したらしく、イヤホンからMr.Jの声が聞こえてきた。

「ターゲットのクリス博士を発見、これよりコンタクトを開始する」

「了解」


 Mr.Bの声も聞こえてきた。我々のやり取りは、全て三者同時通信になっていて情報の共有を図っている。

 手っ取り早くお互いの状況が確認できるのは確かに有効だが、仲間の悪口が言えないのが難点だ。


 Mr.Jは人ごみを縫って博士に近づいていき、博士の前に立つと敬礼をしながら言った。

「博士、お迎えに上がりました」


 そう、俺たちは、イスラン軍の兵士として接触し、博士を別の場所へ護送する役目を担って来たという設定で博士を連れ出す作戦だ。


 Mr.Jの姿を見た博士は、一瞬びっくりしたようだが、すぐに平常の表情に戻り、傍にいる10歳位の女の子を抱き寄せて「わかりました」と言った。


 えっ?よく見ると、博士が引き寄せた子どもは、博士にそっくりだ。

 髪の毛の色といい、目鼻立ちといい本当に似ている。博士の子供なのか。事前のミッションデータにはそんなことは全く載っていなかった。


 親子ということは、二人とも救出するということか?

 そうこう考えていると、Mr.Jは子供の手を引き、

「さあ、参りましょう」

と博士と共に歩き始めた。


 いまいち状況に納得がいかない俺だが、事実として子供が存在しているうえ、あくまで支援が目的で、主体はノスリル共和国側であるため、とりあえずその後に続いて出口に向かって歩き始めた。


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