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作戦の目的

 今まで印象派の絵画がかかっているように見えた壁面は、准将の視線にあわせ巨大なモニターに変わり、地図が映し出された。


 前に来たときは、指輪型コントローラで操作していたはずだが、今日は腕を動かさずにモニターの操作を行っている。

「あ、もしかして思考感応型コントローラですか?」


 部屋に入った時から気付いていたが、准将の右耳に見慣れない装置が付いていた。難聴になってしまい補聴器でも着けているのかな~、位にしか思わなかったが、どうやら最新の機械らしい。


「ああ、気が付いたか。そうだ、これはノスリル製の脳波を利用したコントロールシステムBMIの試作品だ。身体を動かさなくとも考えるだけで色々な機器の操作ができる。このシステムにもクリス博士の理論が利用されているということだ。今回の協力により技術供与された」

 なあんだ、正義だ、国際間の体面だなど、なんのかんの言っていたが、結局我が国はこの技術が欲しかったのか。


 そんなことを思っていると、部屋の電気がチカチカと点滅し始め、窓のブラインドが動き、大きなマホガニー製の机の上に穴が開き良い香りのコーヒーが出てきたりと、一斉に電気製品が動き始めた。

「ただ、操作に若干の慣れが必要だな。まあコーヒーでも飲んでくれ」

 准将はニコリともせず、誤動作で出てきたコーヒーを勧めてくれた。誤動作の割りにちゃんと暖かく、味は悪くない。


「行き先はここだ」

 壁面に大きく映し出された地図には見覚えがある。


「・・イスラン公国・・ですか」

 イスラン公国とは、皇帝を名乗るイポロン三世という人物が治める独裁国で、我がユーリ連邦と戦争状態にある。

 観光気分が一気に吹き飛び、なにやらきな臭い内容になってきた。


「そうだ。知っているように、ならずもの国家指定されているイスラン公国は、豊富な地下資源を基に軍事力の強化を図っている。その一環としてクリス博士は誘拐され、ここN市にある研究施設Cビルに軟禁、強制的に研究を続けさせられているらしい」

 壁に映し出されているイスラン公国の地図は、N市がズームアップされ、さらにその郊外にある大きなビルが映し出された。


「実は、今回の協力要請とは関係なく、対イスラン公国戦略参謀本部では、既にこの研究所の重要性を認識しており、10日後にこのCビルを予告空爆する作戦を進行中だ。そこで、その予告空爆の混乱に乗じて博士を救出する、というのが今回のミッションの概要だ」

 確かに、空爆予告をされると、その施設は蜂の巣をつついたように大騒ぎになる。それを利用するというのは良い手だろう。


「いつものように詳細はそのカードに入っている。今回のミッションは支援が中心だ。できるだけ協力しノスリル共和国に恩を売るのが本当の狙いと言っても過言ではない。その点を理解して行動するように」


 そういうことか。協力要請のターゲットと、すでに実行中の攻撃プログラムがたまたま一致し、単なる救出活動への協力、つまり俺一人を追加するだけでノスリル共和国の最新技術を手に入れられる、濡れ手に粟というやつだ。

 うまいことを考えたものだ。まあ、何であれ、俺にとってはできることをやり、無事生還するのが第一目標ということだな。


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