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反撃開始!

 俺は、その隙をついてベッドから降り、傍らにいるクリス博士を抱きかかえ、とりあえず敵がいない部屋の隅へダッシュするため走り始めた。

 痛みも違和感も無かったため取り替えた足だとは全く意識せず力いっぱい左足で床を蹴った。


「!!!」


 第一歩は、おおよそ2メートル程先に着地し、そこから数歩走って数十メートル先の部屋の隅に到達するつもりだったが、最初の左足の蹴りひとつで、目指した部屋の隅にたどりついた。

 それどころか、勢いが衰えず壁に激突しそうになり、危うく義碗の右腕を突き出し衝撃を受け止めた。コンクリートの壁には右手の手形がくっきりと刻み込まれた。


 クリス博士は、俺の左腕に抱きかかえられ衝撃もすごかったはずだが、意外と平気そうな表情で、びっくりしている俺の顔を覗き込んだ。

「どう?新しい脚は。結構使えるでしょ?」

「これは、いったい何だ?」

「詳しい話はあとで、とにかくあなたの足は、私が開発した最新の足になっているってこと、それに、私がここに戻ってきた理由はもう解決したから、気にしないでここを抜け出しても良いってこと。さあ早く脱出しましょ」

「・・あ?・・ああ・・」


 またしても頭の上にハテナマークが沢山浮かぶ。そういえば、足を撃たれてから山ほどの疑問がそのままになっていたのを思い出した。

 だが、その疑問を解消できる時間は、この状況では生み出せない。


 さっきまで毛布と格闘していたMr.Rは、やっとのことで頭に絡まった毛布をはずし、目の前にいるはずの俺たちがいなくなっていることに気がついた。

「どこへいきやがった!?」

 白い顔を赤く興奮させ、ギラギラした眼で周囲を見渡し、すぐに部屋の隅にいる俺たちを見つけ出した。

「そんなところに隠れやがって、すばしこいやつだ。だが、今回は逃がしはしないぞ」

プロレスラーのような体型に見えるパワースーツを着たMr.Rは、きびすを返し俺たちに向かって走り始めた。


 俺は、博士に近くの棚の影に隠れるように言うと、右腕の手首にある小型キーに戦闘モードへ切り替えるコマンドを入力した。

 低い唸りが右肩から全身に伝わってくる。条件反射なのだろう。この振動は俺の心にものすごい安心感を与えてくれる。

 向かってくるMr.Rに向き直って右腕のモードを切り替えたように、心のスイッチを戦闘モードに切り替えた。病院服を着たままというのがちょっと情けないが致し方ない。


  さっきまでベッドの上で完全に病人状態で頭の中も凝り固まっていたが、気持ちを切り替えると全身の五感がフル活動し始めた。


 まず第一に、身体の状態をチェック。

 部屋の端まで一気にジャンプした時、身体的に何も問題がないうえ新しい足は驚異的なパワーを秘めている。


 次に、状況を確認。

 かなり広い実験室のような部屋だ。窓がないところから見ると地下室か?様々な機器や手術用のライトなどが配置されていることから医療系の実験室といった感じだ。

 人間は20名くらいいるようだが、Mr.Rの襲撃でどこかに隠れているのだろう、ほとんど人影は見えない。


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