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博士の死体の下で・・

 俺は、博士の遺体の下で死んだふりをしたまま、意識が徐々に鮮明になっていき、状況判断ができるまで回復してきていた。


 銃弾は博士の薄い胸を貫通し、俺の背中に当たったが、幸いにも防弾チョッキで止まっていた。

 もっとも撃たれた衝撃は半端なく、二人そろって反対側の壁まで吹き飛ばされてしまったのだ。


 俺と博士の遺体は、廊下の片隅に打ち捨てられ、荷物を持って行き来する人々はギョッとしながらも無視していく。数分後、だれか心優しい人が大きな布をかけてくれた。

 どこかからはがしてきたカーテンのようだ。


 助かった。

 俺の意識はもうすっかり回復し、身体も動けるようになっていたが、衆目にさらされて死んだフリを続けるのはつらい。


 カーテンの下で、俺は改めて状況を整理してみた。

 一番予定と違うところは、あの少女だ。博士に子供がいるという情報はまったくなかった。だが、あの酷似ぶりは親子以外考えられない。


 そして、その娘が、母親を撃ち殺した、ついでに俺も。

 さらにあの会話、Mr.Jはターゲットを確保したと言い、その少女をノスリル共和国のエージェント達は連れて行った。


 残念ながら、あの会話の後はMr.Jたちの会話は聞こえてこない。

 謎を解く鍵は、あのクリス博士激似の少女ということか・・・・・。


 さて、これからどうするか。約2時間後には、このビルは地上から消滅することは間違いない。

 

 俺のミッションは、さっきのイスラン兵じゃないが、このクリス博士を救出することだったが、ターゲットが死んでしまった今となっては、作戦終了ということになる。

 だが、このまま終わって良いのか。せっかく協力したイスランに裏切られたのか。


 その時、俺は気がついた。

 俺の上に乗っている血だらけのクリス博士の死体に違和感を感じたのだ。

 確かにどこからどう見ても、写真どおりの赤毛の熟女美人だが、何かが違う。

 しかし、いくら考えても、違和感の原因が判らない。

 今回のミッションは、腑に落ちないことばかりだ。


 しかし、爆撃の時間は刻一刻と迫ってきている。とりあえず死んだフリをやめ、このビルから退去するのが先決だ。その後のことは、脱出後に考えよう。


 カーテンの下にいるので外が見えるわけではないが、通り過ぎる足音からすると、まだ廊下の人通りはあるようだ。

 いきなり立ち上がっては、また騒ぎになってしまう。


 俺は、日ごろのヨガで鍛えた第六感を研ぎ澄ませ、人通りがもっとも少なくなる頃合を見計らって布からゆっくりと顔を出した。

 結構時間も経っているためか、撃たれる前よりかなり人は減っている。

 俺は、カーテンの下で、もぞもぞと動き、博士の遺体の下から這い出し、タイミングを見てなんとか近くの部屋に移動した。


 そこは所員のロッカールームだった。

 その部屋も泥棒が入ったかのようにロッカーの扉が開け放しにされ、置き去りにされた物が、あちこちに散乱している。

 俺は、その中から白衣を見つけ出し、血で汚れたイスラン兵士の服を着替え、研究所員になりすました。



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