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第七話:即席コンビの予感

都合のよい出来事を奇跡と呼ぶ

そして、奇跡を呼べる才能は運命と言うのかもしれない

「瑛太さん、来てくれたんですね」

星羅の声は少し震えていたけれど、目はしっかりと瑛太を捉えている。

「うん、たまたま募集のメールが来たからね」

瑛太は肩をすくめ、少し微笑む。

星羅はほっと息をつき、額を少し上げた。

「はぁ、安心した……」

その小さな声に、胸の奥がほんのり温かくなる。

瑛太も自然と肩の力が抜けた。

「でも、パートナーはくじ引きだよ」

言葉の端に、緊張が滲む。

「あ、そうだったぁ……」

星羅は机に額を伏せ、指先でチラシを軽く握った。

紙の感触が、指先に伝わる微かな刺激。

今はそれさえ、心を落ち着かせる小さな支えになった。

楽屋の静寂を破るように、スタッフの声が響く。

「抽選の準備を始めます」

星羅は小さく息を整え、瑛太も肩を軽く動かして深呼吸する。

くじ箱の中で紙がカサカサと揺れる音が、二人の鼓動と重なる。

互いの手元に視線を落とす瞬間、時間が止まったように感じた。

「……どうか」

心の中で、同じ願いを繰り返す。

そして、運命の瞬間。

「三谷瑛太さん、相原星羅さん」

名前が呼ばれると、星羅の目がぱっと輝き、花が開くように笑う。

「やった……!」

自然と声が弾む。

瑛太も少し照れくさそうに、でも嬉しそうに笑った。

「……俺たち、ペアだ」

緊張は一気にほどけ、二人の間に穏やかな空気が流れる。

短い時間の中で、互いの距離は確かに近づいた。

即席のコンビ。

偶然のボケとツッコミが重なり合い、この小さな奇跡は二人の距離をさらに縮める。

肩の力を抜いた笑顔、少しだけ照れた目線、手のひらに残る紙の感触――

全てが、この瞬間の温かい記憶として心に刻まれていく。

「……さ、準備しようか」

瑛太がふと笑うと、星羅も小さく頷く。

舞台の空気が二人を包み込み、まだ名前のないコンビの物語は静かに動き始めた。

猫田です

読んで頂きありがとうございます

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