「木太郎の真犯人自白作戦第二ステップ」
木太郎たちは、
何度も、
「俺は無実だ」
と言い張るオチタを、
「黙れ!
よくしゃべる奴程怪しいんだよ!
無実だったらおとなしくしていろ」
などと、
オチタが本気で木太郎たちに疑われる
と思い込ませるようにして、
くそたたちの待つ部屋にオチタを連れて行った。
「あー...
オチタが犯人だったのか?」
くそたは先頭で部屋に入ってきた木太郎の後に、
両手を縛られ、
永久とホウセイの二人に挟まれて、
連行されてきたオチタを見て驚いて言うと、
木太郎は、
「こいつは共犯。
まだ、自白はしていないけどな。
これも間違いはない」
と、
鼻をほじりながら自信ありげに言った。
そして、
打ち合わせどおり、
「オチタをうまく利用して、
もとこ先生を殺した女子がここにいるから、
今からそれを明かにします」
と、
ホウセイも木太郎以上に自信ありげに話した。
すると、
くそたが、
「オチタが共犯というのは盲点だったな。
たしかに、
本物のナイフだと気づかずに偽物のナイフだと思って、
本当にもとこ先生を一撃で刺し殺したというのは、
いくら、
マヌケなオチタにしてもできすぎだからな。
うーん...
でも、残念だ」
と、
木太郎が予想していたようなことを、
くそたが言うと、
「くそた、信じてくれ。
俺は無実だ」
と、
オチタがまた無実を訴えたので、
「黙れ! この人殺し!」
と、
今度は永久がそう言って、
オチタの足を踏んづけた。
このとき、
他の女子もオチタに冷たい視線を送ったので、
「ひどいな...」
とだけ言って
オチタは泣きそうな表情のまま、黙り込んだ。
「では、早速、本題に入ります。
真犯人も実はもうわかっています。
だけど、今は敢えて伏せます。
真犯人にも、
オチタと同じ勘違いがあり、
同情の余地はなくもないからです。
できれば、
オチタみたいに見苦しくしないで、
俺たちが断定するまでに潔く自白してください」
と、
木太郎は作戦どおり話し始めたのだった。
(続く)