「最後の詰め?と動機と木太郎の新推理と爪の主」 「最後の詰め?と動機と木太郎の新推理と爪の主」
木太郎は
永久の手をそのおでこに宛足られた手をふりほどくと、
「永久、男はな。
見かけじゃないんだよ。
永久みたいに、イケメンだけで、
いかにも頭が悪そうに見えて、
そうでない場合もあるし、
ホウセイみたいに落ちついていて、いかもキレそうで、
そうでもない場合があるように、
実際は違うんだ」
と、
自分のルックス
を一部否定するような言い方をしながらも、
いつもの木太郎とは違い、
ゆっくりとそこまで話した後、
二人の少し不満げな表情を確認するの
を楽しむように話しを続けた。
「で、続きだが、これまで話したように、
アスカちゃんは見た目とは違い、
臆病で失禁したかどうかはともかく、
もとこ先生は共犯者には不適当だ
と判断したんだろうな。
例の絵の問題も、
もとこ先生が共犯者に最適だと選んだアスカちゃん
をもう一度試すためだったんだと思うが、
そこをもとめ先生がある意味邪魔をしてしまって、
ある意味で悪魔の目を覚ますことになったんだよ」
と話したのだった。
「ある意味で悪魔の目を覚ますことになった?」
ホウセイがそれだけ言うと、
「ああ、
アスカちゃんを諦めたもとこ先生が代わりにアユメ目を付け、
実際に207号室に泊まらせて、
見た目と違って、
意外に度胸があることに気づいて、
もとこ先生が、
アユメをオオシマに続く共犯者に決めたんだ。
ヒトメちゃんの話しでは、
例の爪の主はアスカちゃんとアユメで、
万引き犯二人はその二人だから、
永久の推理を考え合わせると、
もとこ先生の共犯者がアユメだったことは間違いない」
木太郎が鼻をほじりながら断言すると、
「ひとりはアユメでもう決定だな」
永久はひとりはという留保を付けた上で、
木太郎の意見に同意する。
ホウセイも少し考えていたが、
少し悔しそうに、
「うん...
それしか考えられないな。
で、木太郎、
そこから、
チウメが、
無実で、
アユメだけの犯行だ、
と断定したのはどうしてなんだ」
と言って、
腕を組んだまま、木太郎の方を見たのだった。