「最後の詰め?と疑問」
ホウセイは永久に何か囁いた後、
「木太郎、ちょっと、また、オチタを呼んできてくれ」
とだけ言うと、
木太郎は同じことを考えていたのか、 返事をすることなく、
その部屋を飛び出して行った。
木太郎がオチタをつれて戻ってくると、
木太郎は誰の指示を受けることなく、 アユメの口にハンカチーフで猿ぐつわをかますと、
「オチタ、悪いな」
とだけ言って、
ホウセイが開けた扉から、
アユメを二人で運んで連れていったのだった。
そして、
木太郎がすぐ戻ってくると、
「オオシマの様子が変だったな。
二人もすぐ気づいただろ」
と言うと、
「ああ」
「たしかに、何か動揺していたな。
何故だろう?」
永久もホウセイも木太郎と同意見だった。
「もとこを縛り上げた後は、
もとめ先生がオオシマと連絡できたはずない...」
木太郎がそこまで話して何かに気づいたとき、
「あるぞ」
と永久が言い、
「そうか、チャンスはあった...
まさか、それがもとめ先生の死に...」
木太郎がそう言うと、
「そうか!
ようやくすべてがわかりかけた気がしてきたぞ」
と、
ホウセイが言ったのだった。
「あの二人がまったく別にサプライズ計画を立てていて...
そうなると...」
ホウセイの言葉の後に、
木太郎もそれだけ言って、
鼻をひくひくさせながら、
手に持っている無線機を見つめたのだった。
永久は、
「レイカちゃんが逃げ出したのは...」
とだけ呟いて、そこで黙り込んだ。
そして、
しばらく、
沈黙が続くと、
「多分、レイカちゃんは、
オオシマともとめ先生の無線機の会話を聞いてしまったからだろうな」
と、
木太郎が鼻をひくひくさせて言うと、
「とすると、
もとめ先生の死の方はハプニングだったのかもしれないな。
だけど...」
と、
今度はホウセイがそこまで呟いて、
自分の導いた結論に何か不自然な点に気づいたのか、黙り込んだのだった。