「真犯人、そして」
「じゃあ、言うぞ」
「もったいぶらないで、
早くしろよ」
と、
永久に木太郎がそう言ったところで、
いきなり、
部屋の扉が開いたと思ったら、
「たいへんだー!
早く来てくれー」
と、
オチタが大声で扉の向こうから、
叫び声を開けたのだった。
「どうした? オチタ?
何があったんだ?」
ホウセイが大声を出すと、
「部屋で説明するから、
とにかく一緒に来てくれ」
と、
オチタが大声で返事をしたので、
ホウセイたちが部屋の外に飛び出すと、
オチタはホウセイたちの姿を確認すると、
また、
くそたたちがいる部屋に向かって走っていった。
そこで、
ホウセイたち3人もオチタを追いかけた。
ホウセイたちがくそたたちのいる部屋に着くと、
血まみれの床と、
ヒトメのそばで、
しゃがみ込んでいるくそたが3人の目にはいった。
「ごめん。
俺が油断したんだ。
ヒトメちゃんが何か苦しんでいるみたいだったから、
口からハンカチーフをはずしたら、
いきなり、
舌を噛んだんだよ。
このとおり、
けっこう血が出たんで、
くそたがヒトメちゃんの肺に血が入らないようにしてから、
また、
バカなことをしないように、
口にPSPをとりあえず咬ましたんだ。
とりあえず、
出血も止まって、
大丈夫そうなんで、
何で、そんなバカなことをしたのか、
彼女に訊いても、
泣いてるだけだから、
くそたに言われて、
ホウセイたちを呼びにきたんだ。
この様子だと、
彼女が犯人だったのか?」
と、
オチタが早口でホウセイたちにそうなった状況の説明と質問をしたのだった。
すると、
ホウセイたちは顔を見合わせた後、
「大丈夫そうだな。
オチタ、
もう少しここで待っていてくれ。
ただし、もうこんなドジ踏むなよ。
今度は俺たちはこの部屋の前にいるから」
と、
ホウセイがオチタの質問には答えず、
それだけ言って、
「くそたも頼んだぞ」
「もう少しの辛抱だ」
と、
木太郎、
永久がそれぞれ言って、
3人が意外に冷静だったために、
ぽかーんとしているオチタを置いて、
3人はその部屋を出ていった。
3人は、
前の部屋に入って、鍵を閉めると、
今の突然の出来事で元気を取り戻した木太郎が、
「狂言か...
で、永久、
もうひとりの犯人はヒトメだったのか」
と、
ヒトメのことを呼びつけでそう言うと、
永久は黙って首を横に振ったのだった。