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「女の涙に弱い木太郎と永久と嘘」
ヒトメが泣き出したので、
木太郎と永久は少し動揺したが、
ホウセイだけは意外にクールで、
泣き出したヒトメに対し、
「今の話しはおかしいな。
泣いてもダメだよ。
まだ、嘘をついてるんだろ」
と言って、
少し怖い表情をして、
ヒトメを睨んだのだった。
「おい、ホウセイ」
「どこが嘘なんだよ」
永久と木太郎は、
ヒトメが泣いていたので、
逆にホウセイの方を睨みつけた。
「忘れたのかよ。
ついさっき、
ヒトメちゃんは、
例の芝居について、
あたしももとめ先生から話しを聞くまでは知らなかったのよ。
って、話していたんだぞ。
だけど、
今の話しじゃ、そんな機会ないじゃないか?
おかしいだろ。
女の涙に騙されるなよ!」
と言い返して、
ホウセイは、
逆に木太郎と永久を睨み返した。
「あー...」
「そうだった」
マヌケにも二人は、
ヒトメが泣き出したことで少し動揺していたのか、
ホウセイが指摘したヒトメの話しの矛盾に気づいていなかったのだった。