「SDカードの謎?2」
ホウセイは、
「ファイル名は、
test.zipで、
拡張子の前は、
全部、
小文字のアルファベットで、
しかも、4文字だけだな。
一見、これだけだと、
例の試験問題を入れたフォルダにも見えるかもしれないが、
ファイルのプロパティを見ると、
作成日時は、
ちょうど、
コンテストが終わった翌日の朝だ。
だから、
もとこはコンテストが終わった日の朝に、
脅迫のネタなどをすべてひとつのフォルダにまとめて、
それからパスワードをかけて圧縮して、
このSDカードに移して、
この部屋に隠したんだろう」
と、
感心してホウセイの話しを聞いている永久とは対照的に、
「そんな当たり前のこと長々と話すなよ」
と、
木太郎は鼻をほじりながら言うと、
「永久はこういうのに疎いから、説明しただけだ。
一応、
今、話したことも、
このファイルを解凍するためのパスワードを見つける手がかりになるか、
と思って話しただけだよ」
ホウセイが木太郎に言い返すと、
「今の話しのどこに、
どう手がかりがあるというんだよ」
と、
木太郎が鼻をひくひくさせながらさらに言い返す。
「俺が思うには、
もとこは脅迫していた相手が別のSDカードを盗みに来たり、
パソコン上のデータを消される場合を想定して、
このカードをここに隠していたことは間違いない
と思うけど、
このカードは、
もともと、
このファイルを入れた状態で、
このまま俺にくれるつもりだったんじゃないか
と思うんだ。
それで、
ファイル名がtestなんじゃないのか、
と、
俺は考えたんだ」
と、
ホウセイが、
永久にも木太郎にも理解できないことを話したので、
イライラしてきた木太郎が、
股間を掻きながら、
「もうワケわからないから、前置きはいいよ。
で、パスワードはわかったのか?」
と大声で訊くと、
ホウセイは、
「わかったわけじゃないけど、
今、話したことから、
俺が最初に思いついたのはこれだ」
と言って、
そのファイルの解凍画面で、
パスワードを入力するところに、
文字を打ち込んでいったのだった。