「今度こそ辿りついた真相?と二人の疑問2」
「どうした?
二人とも、ナイフの移動については、
今の説明におかしな所あるか?」
木太郎は鼻をほじりながら、
不満そうに言う。
「いや、今の推理に矛盾はない。
ただ、なにかひっかかる」
と、
永久が言うと、
「俺もだ。
木太郎の推理はもっともな気もするんだが、
なんとなく違う気が」
と、
ホウセイも永久と同じく理由もなく、
そんなことを言うと、
木太郎が鼻をひくひくさせながら、
「そういうのが一番困るんだよな。
矛盾点とか、不自然なところを
はっきり言ってもらわないとな。
話しが先に進まないぞ。
あー、
オチタが騙されて、
」もとこを殺したナイフがキッチンに
もともとあったナイフだ
という当たり前のことを省略していたからかもな。
ごめん、ごめん」
木太郎は、今度は股間を勝手に解釈して、
口先だけで謝って見せた。
「いや、それは省略してもわかっていることだから。
俺がひっかかているのは、
そうじゃなく、レイカちゃんが偽物のナイフを持って逃げた
というところなんだ。
おかしいとは言えないんだが、そこがなんとなくひっかかってな」
と、
ホウセイが言うと、
「そうだ。
俺もそこがなんとなくよくわからないんだ。
理屈の上では、
それしかないんだけどな」
と、
永久も首を傾げながら、
ホウセイと同じことに疑問を抱いているようだった。
「レイカちゃんは、
多分、何かの事情でチウメちゃんが犯人だ
ということに気づいたんだろ」
木太郎が二人の疑問点
をあまり問題にしていないような言い方をする。
「どうして気づいたんだよ。
それに、レイカちゃんが犯人じゃないなら、
オチタのやったことは芝居だと思っていたはずじゃないのか?」
と、
永久が訊くと、
「それを含めて、気づいたんだよ」
木太郎は今度は鼻をほじりながら、
やはりそこは疑問に思っていないようで、
あっさりと言う。
「平行線だな。
じゃあ、木太郎。
ヒトメちゃんが嘘をついたのは何故だ?」
と、
ホウセイは、
レイカの話しを木太郎にしても無駄だと思ったので、
もうひとつ疑問に思っていたことを口にすると、
「それは、前に話しただろ。
ヒトメちゃんが預かっていた本物のナイフ
をもとめ先生に取られて、
もとめ先生に自殺されてしまったから、
嘘を言うしかなかったんだよ」
木太郎は今度は股間を掻きながら、
ホウセイの顔を見て、呆れたように言う。
「ホウセイ、そこは木太郎の言うとおりだろ。多分」
永久はその点には木太郎と同意見のようだった。
「うーん...。
じゃあ、こうしないか?
ヒトメちゃんだけ、
ここじゃ、あれだから、
どこか別の部屋に呼び出して、
もう一度、話しをして、
本当のことを話させたら、どうだ。
そうだ!
レイカちゃんが寝ているもとめ先生の部屋でどうだ?」
と、
チウメ、アスカ共犯説に納得していないホウセイが
そう提案したのだった。