「コンテストの結果発表前2」
「あれ、二人だけ」
ヒトメが言うと、
「くそたとホウセイは集計中。
おちたはハナクソ洗いに行った」
と
木太郎が本当のことを言うと、
「おちたくんも木太郎くんみたいに鼻ほじるんだ」
と
アユメが言ったので、
木太郎以外は大笑いした。
「そういう俺をバカにした言い方をすると、
大変なこと教えてやらないからな」
と
木太郎がヘソを曲げたような顔をして言うと、
「ごめんなさい。
そういう意味じゃないのよ。
ねえ、大変なことって何?
謝ったから、
教えて、木太郎くん」
と
アユメが下手にでると、
「木太郎くんは大物だから、
そんなことくらいでヘソを曲げないわよね」
と
ヒトメが木太郎をおだてる。
「そうか。
俺って大物に見えるか。
さっきのは冗談だよ。
いいか、大変なことを教えるよ。
今度のコンテストで優勝すると
207号室行きはなくなる。
でも、
逆に最下位だと明日は207号室だ」
「えー、やっぱり。」
チウメが言うと、
「同点の場合は」
と
またアユメが訊く。
「その場合は、
優勝はくそたが、
最下位はホウセイが決めることになってる」
と
木太郎がさも自分だけ知ってる情報のように答えると、
「姉らしい、ずる賢しさね」
と
そばで聞いていたもとめがつぶやいた。