「プロローグ5」
ホウセイは新学期のクラス編制の掲示板を見て
思わずガッツポーズをした。
憧れのもとこが担任だったからだ。
知的な黒縁眼鏡や
一見まったく同じに見える黒服のセンスをまったく理解できず、
変態女教師などと噂する輩もいるが、
とんでもないおおバカ者だ。
あの黒い眼鏡と小顔、
小さな口元、そして、整った鼻、
そして、切れ長の程良いサイズの瞳が
絶妙なバランスで配置されている。
眼鏡も毎日同じようだが、
実は数えただけでも最低7つはある。
黒みがかった口紅も日によって微妙に違う。
黒服についてはいくつあるのか数え切れない。
あの絶妙なバランスとセンスを理解できないとは、
同じオンシラーズ高校の生徒として恥ずかしい限りだ。
あの黒服の下にはボテバラが隠されている
と噂をするバカ者がいるがとんでもない。
黒服の下から覗く、小さな足と折れそうで細い足首では、
とても噂されているような体重を支え切れるわけがない。
思春期の男子を惑わさないように
わざと妊婦が着そうな黒服でナイスなボディを隠しているだけなのだ。
ホウセイは本気でそう思っていた。
もとこが黒にこだわっているのも、
オカルト的趣味があるホウセイを魅了している理由の一つだった。
かように、ホウセイにとって、
もとこは彼の求める理想の女性そのものだったのである。
(続く)