「仮説とオチタの反論」
しばらく、
考え込んでいたホウセイが、
「うーん、
ということは、
永久の推理のとおり、
今回の一件は、
アスカちゃんともとめ先生が仕組んだ
ってことでいいのかな。
アスカちゃんは自分のナイフ
を身に付けていたんだから」
と言うと、
永久が、
「俺はそう思った」
とだけ言うと、
オチタが、
「でも、
お風呂に入ったときなら、
ナイフをすり替えることは可能じゃないか?
それに、
アスカちゃんがずっと演技していたというのもなあ。
アスカちゃんは殺人肯定派だから、
むしろ、
チウメちゃんの方が怪しいんじゃないか?」
と、
自分の意見を言う。
すると、
ホウセイが、
「いや、それはおかしいぞ。
俺が提案した芝居に、
自分の部屋に偽物のナイフがある、
と言いだしたのが、
チウメちゃんだから、
彼女はそう言った時点で、
もとこを殺す気だった、
ということになり、
永久の推理と矛盾するからな。
やはり、
アスカちゃんともとめ先生が共犯だった
と考えた方がいいだろう」
と、
ホウセイがオチタの意見に反論した。
しかし、
オチタは、
「でも、そうだったら、
何で、
アスカちゃんは、
あのとき、
俺のやったことに疑問をぶつけたり、
正直に話さなかったんだろう。
もとめ先生も同じだ。
あの時点では、
あの二人は、
俺が持っていたナイフがチウメちゃんの部屋にあったナイフ
かどうかわからなかったんだし、
ホウセイがあんな提案したことも知り得なかったんだから、
責任を感じることもなかったんだからな。
それに、
そもそも、
アスカちゃんももとめ先生も、
もとこを殺す気はなかったんだから、その後でも、
本当のことを話す機会はいくらでもあったからな。
だから、
俺は永久の推理は違うと思う」
と、
オチタが言うと、
永久もホウセイもすぐに反論できず、
黙り込んでしまったのだった。