「もとめの部屋のレイカ」
もとめの部屋に向かうくそたを、
永久は追いかけた。
そして、
くそたと永久はもとめの部屋に入り、
レイカの息があることを二人で確認すると、
「まだか...
レイカちゃん、ごめん。
本当なら、
早く、
病院に運んであげればいいんだけど」
くそたはまだ意識が戻っていないレイカに向かって
言った。
「くそた、
謝るために来たんじゃないんだろう。
レイカちゃんに何か訊きたかったんだろう。
話してみろよ」
と、
永久は、
くそたの様子から見て、
思っていることを話した。
「ああ、そうなんだ。
レイカちゃんはあのとき異様に怯えていて、
ナイフを俺に向けたんだ。
あのときは、
俺はレイカちゃんは、
もとこに怯えていた、
と思ったんだけど、
違うじゃないかな」
「どういうことだ?」
「永久の推理は、
もとめ先生は死んだフリをしているだけだ
ということだったんだろ。
それは、
おそらく、
もとめ先生に自殺するほどの動機があるのか
という点と、
もとめ先生が自殺していたと言ったのは、
ヒトメちゃんとチウメちゃんの証言だけだけど、
二人とも様子が変だし、
最初は嘘を言っていたからな。
それから、
オチタが意外に元気なことだ。
俺は、
もとめ先生は、
本当は、
自殺ではないんじゃないか、
と思い始めて、
レイカちゃんに訊きたかったんだ」
くそたがそこまで話すと、
「発想は俺もくそたも似てるな。
もしかして、
オチタもレイカちゃんも、
もとめ先生は自殺したフリをするだけだ
と思っていたということだろう。
もしかしたら、
というか、
オチタはまだそう思っている可能性がかなり高い
と思う」
永久がそこまで話すと、
「でも、もとめ先生は死んだ。
だから、
それを確認したレイカちゃんは怯えた」
くそたが永久が考えていること
を先取りするように途中で口を挟んだ。
くそたの話しを聞いた永久は、
「たしかに、その可能性は高いな。
とすると、
俺とくそたと木太郎とホウセイ以外はみな共犯だった。
でも、
実は、
その共犯でさえ、
誰かに騙されていたということか?」
と、
自分の推理を話した。
「ああ、そうなるな。
なら、オチタを攻めれば、すべて全容がわかるかもしれないな」
くそたがオチタを呼び出すような話しをしだしたところで、
「うーん、だけど、そうなら、
木太郎とホウセイだけをあの部屋に残すのは危険じゃないか?」
と、
永久は言ったのだった。