「新探偵くそたの名?推理とすり替え犯」
「女子の誰かと永久の仕業だったのか?
だから、
この期に及んでも正直に話さないわけだな。
で、共犯は?
うーん?
動機から考えると、
アスカちゃんかな。
うん。
そうだ!
彼女はそれなりに頭もいいし、
4美将の中でもトップクラスだし、
永久も誘惑されてもおかしくないからな」
木太郎が、
くそたの話しを聞いたとたん、
鼻をほじりながら、
勝手に犯人を決めつけて、そんな話しをする。
すると、
「木太郎、勘だけで決めつけるなよ。
でも、
アスカちゃんなら、
ひさめちゃんのナイフのことも知っているし、
自ら自殺の芝居をしたくらいだから、
そういう発想をしてもおかしくないな。
それに、
アスカちゃんは、
もとこには目をつけられて、
いきなり207号室に泊められて、
相当怖い思いさせられたみたいだからな。
動機も充分ある。
チウメちゃんがアスカちゃんを疑ったのも、
女の勘かもしれないな」
ホウセイまで、
そんなことを言いだした。
「ホウセイまで、
勘だとか言いだしてどうするんだよ。
ここまで辿り着いたんだから、
最後の詰めはちゃんとしないとな。
いいか。
まず、
チウメちゃんのナイフの所在を知っていた、
あるいはその可能性のある人間から
すり替え犯を絞っていき、
それから、
永久に限らず、
もとこの計画を知り得た人間
と結びつけていけばいいんだよ。
まず、
アスカちゃん、
チウメちゃんの二人は間違いなく、
チウメちゃんのナイフの所在を知っていた。
次に、
チウメちゃんのナイフの所在を知っていた可能性のあるのは、
アユメちゃん、
ヒトメちゃん、
レイカちゃん、
そして、永久だ。
ここから、
まず、
チウメちゃんは自分のナイフをすり替えに使った
とは考えにくいから、
除外していいだろう。
もうひとつのナイフのことは別だけどな。
それから、
ヒトメちゃんは、
もとこが生きていたと思って、
怯えていたようだから、
除外していいだろう。
レイカちゃんも偽物のナイフを本物だと思いこんで、
握りしめていたから、やはり除外していいだろう。
そうすると、
残るのは、
アユメちゃん、
アスカちゃんだな。
この二人は、
おちたがもとこを刺した後、
もとこの部屋にすぐ来ているから、
かなり怪しいとみていいな。
もとめ先生を置いてこれたのも、
もとめ先生が持っているナイフが偽物だ
と思っていたからだ、
と考えることもできるし、
実際、
うまく行ったか確かめたい
といった気持ちもあるかもしれないしな。
それだけじゃなく、
ああして、
二人で、
すぐもとこの部屋にいくことで、
自分が犯人でないことをカモフラージュしよう
としたのかもしれないしな」
くそたがそこまで話すと、
「やっぱり、
アスカちゃんじゃないか!
アスカちゃんは、
自分が持っていたナイフをわざと落として、
もとこが持っていたナイフがすり替えられた、
と俺たちに思わせたんだよ。
あれで、
俺たちの推理は最初の出発点から狂ったからな」
と、
木太郎が少し興奮気味に鼻をひくひくさせながら、
言ったのだった。