「4本目のナイフ」
くそたは、
「あっ! そうだ!
俺が渡したナイフ!
ホウセイ、あれどうした?」
と言って、
ホウセイの方を見ると、
「あー。たしかに、俺、くそたからナイフを預かって...」
ホウセイはそこまで言うと、
黙り込んだまま、
何か思い出そうとしていた。
「何!
くそたもホウセイも、
何で、
そんな大事なこと忘れていたんだ!
4本目のナイフはそれかもしれないじゃないか。
それに、
そのナイフはどこにあったんだよ」
木太郎が大声を出して、
くそたとホウセイの方を見ると、
「俺は食堂で武器を探していて、
そこでナイフを1本見つけたんだけど、
それだけじゃ、
みんなの武器が足りないから、
外に武器を探しに行ったんだよ。
で、
そのとき、
そのナイフをホウセイに渡したんだ。
あのときは1本見つけただけだけど、
もしかすると、
屋敷の食堂には
本物のナイフが2本あったのかもしれないな。
となると...」
「食堂に、
もともと本物のナイフがあったんだな。
ということは」
くそたに続き、
木太郎が話しかけたとき、
「そうだ。
俺がもとこを縛り上げたこと
をみんなに白状したとき、
土下座して謝ったんだ。
そのとき、
あのナイフを
落としたか、
置いたんだ。
だとしたら、
あのナイフは食堂の床にあったはずだ。
そうか。
俺がおちたがもとこを刺したナイフを見て、
何かひっかかるものを感じたのはそのことだったんだ。
くそたから預かったときは、
どうやって俺たちがもとこを縛り上げていたこと
を隠そうか必死だったので、そっちは気にしてなくて...」
と、
ホウセイは、
思い出すのが遅くなったことを、
そう言い訳したのだった。