「探偵役失格?」
木太郎は鼻をひくひくさせながら、
「えーと、それは...」
と言ったきり、口籠もる。
「あの二人がナイフのすり替え犯じゃないなら...
芝居ならもとこは生きているわけだし、
おちたも...」
ホウセイも、
それだけ話して考え込むと、
「もとこは、
おたくらが縛り上げていたんだから、
もとこの仕返しを心配する必要はないんだし、
あの時点では、
もとこの計画ももうわかっていたんだから、
もとこの殺人さえ嫌がっていたあの二人にすれば、
もとめ先生の自殺を防ぐことだけを最優先に考えれば、
いいはずだろ!
だとしたら、
自殺を防ぐために、
アレが芝居でおちたがもとこを殺したわけじゃない、
と、
二人のどちらかが正直に話せば済むことじゃないか!
探偵役がそんなこと考えないでどうするんだよ!
失格!」
「えー? 失格?」
「失格?」
「だから、
二人とも探偵役失格だ!」
失格と言われて動揺している木太郎とホウセイ
を呆れたようにくそたが見る。
そして、
「これからは俺が探偵役で、
オタクらは助手だからな!
わかったな!」
木太郎とホウセイが何の反論も出来ず
固まったのを見て、
ますます調子に乗ったくそたが、
そんなことを言いだしたのだった。