「絞られる犯人」
ホウセイが、
「たしかに、そうだね。
問題はどちらから話しを訊くかと、
できれば、
俺としては、
さりげなく訊きたいんだな。
犯人だけはこの話しをすると、
すぐ何が問題だったのか、
すぐわかるハズだからね。
だから、
アスカちゃん、
俺たちがこれからすぐ送って行くから、
あの部屋に戻っていてくれる。
多分、
何も訊かれはしないと思うけど、
何を訊かれたかは答えないようにね。
それで、
俺と木太郎は、
いったんここに戻って、
誰から話しを訊くか相談するから。
ヒトメちゃんか、
アユメちゃんから訊くのが本当かもしれないけど、
場合によっては、
チウメちゃんのナイフの話しが出たときには、
男子も一人いたってことだから、
男子から訊いてもいいし。
全員、
順番に話しを聞いてもいいからね。
この辺は木太郎と相談して決めるよ」と
長々話しをすると、
「あたしも今の話しを聞いて、
何が重要なポイントか理解できたから、
よく思いだしてみる」
アスカは自分の容疑が晴れたと安心したのか、
笑顔でそう話した。
そうして、
ホウセイと木太郎はアスカを他の生徒の部屋に送っていくと、
また、
二人だけで、
その部屋をすぐ出ていった。
そして、やはり、
このときも誰も何も言わなかったのだった。
木太郎は、
前にいた部屋にホウセイと一緒に戻ると、
部屋の鍵を閉めてから、
「アスカちゃんのさっきの話しで出た男子って、
まさか、おちたじゃないよな」
と
鼻をひくひくさせながら真顔で言ったのだった。