「アスカがチウメのナイフの存在を知っていた理由」
チウメの不思議そうな表情をみたホウセイが、
「えっ?
どういうこと?」
と、
チウメの方を見ると、
チウメは、
「実は、
アスカがですね。
誰がその場にいたかのかはよく覚えていないんですが、
例の207号室に泊められた後だったと思うんですが、
演劇用のナイフを使って、
その場にいた私たちを脅かそうとして、
わざと自殺するフリをしたんですよ。
私はすぐアスカの表情を見た時点で、
いたずら好きのアスカの演技だ
とわかっていて黙って見ていたんですが、
誰だったか忘れてしまったんですが、
アスカの演技を真に受けて慌てて止めようとして、
結構、
二人が危ない体勢になったもんですから、
私が、
大声で、
そのナイフはきっと演劇用の偽物だから騙されないで、
とか、
そんな感じで言って、
アスカの演技のことをバラしたんですよ。
で、
その後で、
アスカと二人きりになったときに、
私は、
てっきり、
アスカも私と同じ理由で鞄に放置したまま
この合宿に持ち込んだのか
と思って、
アスカに訊いたら、
アスカは、
護身用にいつも持ち歩いてるって、
私に話したんです。
ですから、
アスカが、
私が演劇用のナイフを持ってきたの
を知っていて当然なんですよ」
と、
チウメは、
その発言が重要な意味を持つこと
を知らずに淡々と話したのだった。