「チウメの反論2」
すると、
チウメは、
「嘘をついた理由は
ナイフをすり替えた犯人を探すためです。
私を信じなくてもかまわないけど、
私は
ナイフをあのとき触っていないの。
それに、
その前にもナイフのすり替えはしていないの。
だから、
他にナイフをすり替えた犯人がいるはずなんです。
だから、
ヒトメには悪いけど、
嘘をついておとなしくしてもらって、
私一人でナイフをすり替えた犯人
を探していたんです。
正直、
最初はレイカを疑っていたんだけど、
どうやら彼女は違うみたいですから、
今、
私が考えている犯人はアスカあなたよ。
私が演劇用のナイフを持ってきたことを知っていたのは、
あのときもとこを殺すフリをする芝居
をやることにした私以外の4人、
つまり、
レイカとホウセイくんと木太郎くんとおちたくん。
と。
それにアスカあなただけだから。
それによく考えたんだけど、
もとこに直接いじめみたいなことをやられたのは、
もとめ先生とアスカと永久くんだけでしょう。
そういうことを考えていったら、
私の頭の中には、
アスカあなたしかナイフすり替えの犯人像は
浮かばなかったわけ」
チウメは
今度はアスカの目をじっと見ながら、話した。
「要するに、
チウメはあたしがナイフすり替え犯だ
という証拠のようなものを掴むために
嘘をついていたってこと。
それで、
あたしが犯人だ
という証拠が見つかったの?
見つかってないでしょう。
それにそのために何であんな嘘をつくワケ?
おかしいわよ。
それに、
チウメ自身、
ホウセイくんに質問していたように、
例の芝居のことなんか、
あたしは知らなかったんだから。
だから、
あたしがナイフをすり替える必要はないの。
それから、
アユメに確認してごらんなさいよ。
あたしは二グループに別れてから、
ずっとアユメと一緒にいたんだから。
ホウセイくんたちが例の芝居を考えついてから、
ナイフをすり替えることは
不可能なのよ。
それでもあたしが犯人なの」
アスカは凄い目でチウメを睨みながらも、
冷静に言い返した。