「正反対に見える姉妹」
「どうしたの、レイカさん元気ないなあ」
「先生の妹さん、どうしましょう?
後でアスカさんに恨まれるかなあ」
とレイカが神妙な顔つきで食堂でお茶を飲んでいる。
「アスカさんに票を入れたのね。
でも万一姉が公表しても絶対恨まれないわよ」
「どうしてですか」
「アスカさんは票は取りたいけど、
泊まりたくはないと矛盾した思いがあったはずだから。
アスカさんが恨むなら姉だけね。ううん、
今アスカさんが不満なのは票が少なかったことよ。
多分永久くんもね。
木太郎くんみたでしょ。
あの変な古くさいポーズ。
あれは嬉しかったの。
ホウセイくんも。
逆に、あなた寂しくなかった?」
「いえ、私なんて10人に入れただけで、
とてもとても。」
「本音かなあ?ちょっとは期待してたんでしょう。
あなたわざと地味にしてるけど、すごく綺麗よ。
やっぱり、1票も入らないと寂しいでしょう。」
「いや、私は本当です。あまり目立ちたくないんです。
女ならそう思うのは当然でしょうけど、
私の場合、小学生の頃、男子にちやほやされたことがあって、
嫉妬した女子にいじめられたことがあったんで。これでいいんです。
くそたくんみたいに堂々とできればいいんですけど」
「くそたくん?」
「私はくそたくんが羨ましいです。
本当にマイペースで。他人の評価を気にしないで、
多分、私が昔いじめられたのは多分男子に媚びを売っていてそれで、
他の女子に嫉妬されたんだと思います。
私も、明日からはマイペースでがんばります。
先生、いえ、やっぱり先生ありがとうございます。では、」
とレイカは何かふっきれたように
もとめを残して部屋に戻って行った。
「どう、あの子。結構素直でしょう。
それにちゃんとした格好をしたら、
多分、アスカなんて問題じゃないくらい綺麗よ。
私見る目あるでしょう。」
そう後から声をかけられて、もとめはドキッとする。
「姉さん、聞いてたの」
もとこはもとめの問いに黙って頷く。
「ええ、それよりもう姉さんは残す8人決めてるの」
ともとめが言うと、
もとこはにやりと笑って
「あなたなら、今ならどう8人選ぶ。
じゃあ、私、忙しいから」
と言って、
もとこはさっさとどこかに行く。