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「207号室行きはアスカか永久か2」
「えー、失礼。
最後の1票は、え、
えー、
アスカさんでした。
おめでとう。
接戦で残念でしたが永久くん他の皆様、
明日もあるのでがんばってください」
ともとこが言い終えたとたん、
ほっとして水を一口飲んだ永久と、
吐くのを必死でこらえている二人を横目でちらっと見た後、
もとこはにこにこ笑って、
「みなさん、アスカさんに拍手を」
と言うと、
パラパラと拍手の音がした。
アスカは悔しいので、
吐き気をこらえて立ち上げると
「ありがとうございます。光栄です。
では、早速、準備にとりかかります。
お先に失礼させていただきます」
と挨拶して頭を下げると、足早に部屋に戻っていた。
その姿を見たもとこがにやっと笑っていたことを
永久は見逃さなかった。
永久は
「あいつは、変態ではなく悪魔だ」
と誰にも聞こえないような声でそっと呟いた。