「プロローグ3」
アキバのとあるショップで
「ラッキー!」
オチタ中並は、
オタク仲間でフィギュアを捜すのに
夢中の根雅くそたに嬉しそうに声をかける。
「おっ、びっくりするじゃないか。
どうしたんだよ。」
「新学期からのクラス替えだよ。
クラス替え。
オタク、気にならないのかよ」
「別に。
どうせ、俺たちのことだから、
また不細工の集まりに入れられるか、
そうじゃなくても相手にされないさ」
と、
くそたは冷めた顔で言う。
「俺も、そう思ってたら凄いぞ。
本当に凄い。
全部で5クラスもあるのに、
あの四美将が同じクラスなんだ。
オタクも一緒で
残念ながら木太郎も一緒だけどな」
「えっ、四美将って、
アユメちゃん、
ヒトメちゃん、
アスカちゃん、
チウメちゃんのこと?」
「他に誰がいるんだよ。
だから、
フィギュアなんて見てる場合じゃないぞ」
「だけど、木太郎も一緒じゃ、
どうせ10代目とか陰で言われて
バカにされて相手にされないだけだろ」
「それでもいいじゃないか。
四美将が生身でみられるだけでも俺は満足だ。
今までのように隠し撮りをしなくてもいいし、
集合写真も一緒なんだぞ。
10代目キモ男三人衆でもいいじゃないか。
かえって注目されるかもよ」
「楽天的な奴だな。
木太郎も知ってるのか?」
「ああ、あいつなんか。
発表の前から校門の前で待っていたんだぞ」
「何で知ってるの」
「一緒に並んだから」
「オタクらバカじゃない?」
「いやー、
昼間は買いもしないでフィギュアをわびしく眺め、
家に帰れば携帯ゲームに熱中のオタクのほうが、
よっぽど哀れだと思うけどね」
「そう?
でも何かあるんでしょ」
「まあ、俺たちには関係ないよ。
あの変態女教師が担任なことと
永久が一緒なことくらいかな?」
「変態女教師?
ああ、噂の女好きの黒女か。
でも、それは俺たちには関係ないね。
永久もどうせ次元が違うから。
でも、
四美将と一緒のクラスなのか」
くそたの顔はにやけていた。