「犯人は手を汚さない3」
「まず、ヒトメの部屋からね」
アスカの言葉に、
おちたを先頭に7人はヒトメの部屋にむかった。
「ちょっと待ってくれ」
ヒトメの部屋の前にくると、
木太郎がおちたを押しのけて小声で言うと、
毎度のことのようにドアに耳をあてる。
「うん、誰もいないみたいだぞ!」
「何言ってのよ。
ヒトメが中にいるはずよ」
「ああ、間違えた。静かだ」
木太郎はこういう事態なのに、
まだ、
ふざけている。
「木太郎、下がってろ。
くそた鍵貸してくれ」
「おちたくん、
ヒトメは恐がりだけど、
おっちょこちょいなところもあるから、
いきなり勘違いして襲ってくるかもしれないから
気をつけてね」
おちたの言葉に、
アユメがアドバイスすると、
おちたは黙って頷く。
おちたはくそたから鍵を受け取ると、
そっとヒトメの部屋の鍵を開ける。
そして、
おちたはゆっくりドアノブを捻ると、
ドアを開きかけた。
「うわー」
その瞬間、
ドアの隙間に
むかってスコップが振り落とされた。
「危なかったあ!」
おちたが、
すぐには部屋に入らず、
すぐドアノブから手を放したので、
スコップは、
そのままドアノブを一撃しただけですんだ。
その衝撃のためか、
ドアの向こうの相手は痛みを感じて、
悲鳴をあげた。
「ヒトメの声!
あたしよ。もう大丈夫だから、
怖がらないでおとなしくして!」
アユメがそう大声を上げると、
おちたを押しのけて、
ドアを開けると、
一人でヒトメの部屋に入っていってしまった。