「もとめの部屋」
「しー」
「いないみたいだなあ?」
「トイレと浴室を見ろ」
「後は頼んだぞ」
「あー」
「あっ!」
「どうしたの?」
「アスカちゃん、
ちょっと声が大きい」
「ごめんなさい」
「ほら、
スコップがひとつだけある!」
おちたがトイレのドアの前を指さす。
「ちょっと、怖いじゃないのよ」
「後、警戒しろ!」
「前もだよ」
「それはわかってる」
「じゃあ、
ホウセイと永久は部屋の前で待ってろ!」
木太郎が偉そうに小声で言う。
「わかった」
「ああ」
ホウセイと永久以外はもとめの部屋の中に入ると、
トイレと浴室以外に人がいないことを確認する。
「浴室にカーテンかかってるぞ」
「わかってるって」
「くそたくん、何びびってんのよ」
「意外に不気味だなあ。
木太郎、試しにあのカーテンを
さーっと動かしてくれよ」
くそたが木太郎に小声で囁く。
「誰かいるなら、
カーテンの方だろう。
トイレは罠だよ、
くそたなら勝てるよ。
がんばれ」
「そういう問題じゃないんだよ」
「どういう問題だよ」
「何二人してびびってんのよ」
「あたし、開けようか?」
アユメが前に進もうとすると、
くそたと木太郎が止める。
「わかったよ。
僕が行けばいいんだろう」
おちたが前に進んだ。