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「さあ、あの部屋に」
「はー」
「行くか」
「行くって?」
「決まってるでしょう」
「く・そ・た・く・んの部屋」
5人はひそひそと言い合って、
くそたの部屋を見る。
「フェイントがないかなあ」
「木太郎だけだろう?」
「でも、万一ということもねえ」
「じゃあ、
アスカちゃんとアユメちゃんが
真ん中で後方を俺とホウセイで守る」
「えー」
「しょうがないわよ」
「おちた! ぬかるなよ」
「はあ?」
「ちょっと待って! しー」
アスカが口に人差し指を当てると、
5人は沈黙して物音がしないか確認する。
「うー」
何故か、
番犬のように声をあげようとした木太郎の口
をホウセイが押さえる。
再び、5人は沈黙する。
「大丈夫みたいね」
アスカの言葉に、
5人はゆっくりと足を忍ばせて、
くそたの部屋の前まで来た。
「ホウセイは前を、
俺は後を見る」
「じゃあ、
アユメは前を、
あたしが後を」
「わかったわよ」
「おちた! ぬかるなよ」
「はあ?」
おちたは
くそたの部屋のドアノブに手をかけた。