「木太郎の真犯人説」
「木太郎、こんなときにふざけるのもいい加減にしろ!
何で、くそたが」
ホウセイが少し怒ったように言うと、
「アスカちゃんの話しを訊いて閃いただけだよ」
と
木太郎は鼻をひくひくさせて弁解する。
「でも、
レイカの単独犯だ
とアスカの言う疑問は解消されないわよね」
アユメが木太郎の推理というか、
閃きもまんざら不自然ではないという言い方をすると、
「くそたの奴がレイカに誘惑されたとか」
と
木太郎がふざけたように言う。
「もう、こいつは」
と
ホウセイは言ったものの、
アスカのくそたに関する疑問を解消する意見は
思いつかない。
すると、
おちたが、
「くそたが隠れている。
そこは正しいと思うんだ。
そして、
くそたが隠れているには、
きっと理由があるはずだよ。
それから、
犯人がこの部屋にはたいした武器がないのに、
攻めても来られない。
そこにも何かある。
多分、
僕たちにも、
犯人にも、
くそたにも、
全員不安があるんだ。
そこさえ、わかれば...」
と
途中まで言って考え込む。
「それぞれの陣営に不安があるか?」
ホウセイもそう言って考えこむ。
すると、
また、
木太郎が、
「そうだ!
くそたは、
俺たちと同様、
犯人を掴みきっていないんじゃないか?
それなら、
隠れていることと辻褄が合う」
とまた違うことを言った。
(続く)