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「ナイフ?」
「ちょっと待って」
アスカは、
木太郎が持っていた方のナイフ、
つまり、
もとこが隠していたナイフを見て、
「アレ?」
と言って、
床に刺す。
そして、
その場にいる人間みんな唖然とする。
そのナイフこそが偽物だったからだ。
「どういうこと?」
アユメが首を傾げると、
「こういうことよ」
と、
アスカも首を捻りながら答える。
「うえー、危なかった!
俺、危うく」
木太郎はツバを飲み込む。
「これも犯人の罠か?」
ホウセイも首を傾げる。
「あのもとこが偽物隠すかよ。
偽物だったら、
もっと
わかりやすいところに置いてあったんじゃないの?」
と
木太郎は言う。
「犯人は、
あたしが考えていたように、
本当は、
正当防衛で殺す気だったのかしら?
だから、
偽物に予めすりかえたのかしら?」
アスカがそう言うと、
「じゃあ、
犯人は、
途中で、
俺たちの偽装殺人計画を知って、
もとこの殺し方を変えたということか」
と
ホウセイが言って考え込んだ。
「だとすると、犯人は」
アスカはそこまで言いかけた。