「テスト4」
この中で一番の恐がりのチウメは
おそるおそる用紙をひっくり返す。
「10人の生徒の中で
一番自分に自信を持ってると思うのは誰だと思いますか」
チウメは問題を読んだ瞬間ほっとした。
そして、
「アスカさんです」
と書いてすぐ提出した。
相変わらず木太郎とホウセイは
答案が出来ているにもかかわらず、
時間ぎりぎりまで待つつもりのようだった。
今回は問題が簡単なだけに
二人以外はほとんどすぐ出ていった。
「君たち二人はまだかしら。
今回の問題は簡単なはずだけどなあ。
私、食事の前にお風呂とは言わないけど、
せめてシャワーだけでも浴びたいんだけどなあ?」
ともとこが甘い声を出してそう言ったとたん、
二人は争うように答案を提出した。
「すいません。お疲れのところ気がつきませんで」
と木太郎が謝って逃げるように教室を出かけ、
「今後は気をつけます。
つい。いえ。ごゆっくり」
と言いながら、
ホウセイも頭を下げて、
恥ずかしそうに部屋を出ていこうとすると、
もとこは出ていこうとする二人に
「二人とも見かけによらず優しいのね。
どうもありがとう」
とにこっと笑うと、
二人を追い越して走りながら、
先に部屋を出て行った。
後から部屋を出た二人は、
何故か二人とも同じことを考えていた。