「動く?そして、真犯人は?」
木太郎は、しばらく、考えた後、
「犯人の人数によっては、動けるなあ」
と
ぼっそと言った。
「犯人が二人以下ならでしょう?
でも、
木太郎くんかホウセイくんかおちたくんは死ぬ覚悟をしてね」
と
アスカが冗談ぽく言う。
「スコップで一撃の場合か」
と、
ホウセイが言うと、
「僕やろうか?
僕がナイフを確認しなかったのが悪かったんだから」
ずっと黙っていたおちたが、
いかにもすまなさそうな顔をして言う。
「気にしないのよ」
「そうよ、おちたくんは悪くない」
アスカとアユメはそう言って、
おちたを慰める。
「そうだ、おちたは被害者なんだぞ」と
ホウセイも言う。
「でも、俺は一番に部屋は出ないぞ」と
木太郎だけは、保身に走る。
「木太郎の性格はわかってるよ。
行くなら俺だろう?」
と、
ホウセイが少し格好をつけた感じで言うと、
「言うのは簡単だけど怖いぞ」
と、 木太郎が脅かす。
「まだよ。
くそたくんたちを待つのよ」
と、
アユメはそう言う。
「あたしは、前にもちょっとだけ、話したけど、
チウメとレイカが組んでいる可能性はないと思う。
あの二人、
この合宿まで接点がないから、
殺人みたいなことで共犯するとは思えないの。
あと、
指紋のことや演劇部じゃないことを考えると、
レイカは騙されたんじゃないかなあ」と、
アユメははっきり言う。
「指紋か。そうだよなあ。
あのとき、レイカは、手袋なんてしてないで、
素手で、すぐおちたに渡して、
おちたも、
もとめ先生たちがいつくるか、
わからないから、
すぐナイフ隠したもんなあ?」
と
木太郎もアユメの意見に同調するようなことを言う。
「そうよねえ。
チウメだったら自分で触らないで、
レイカにとらせることも可能だもんねえ。
木太郎くんたちの他に、
レイカも殺すつもりだったのかもねえ」
と、
アスカも同調しはじめた。