「じれるオオシマともとこと最悪のケース」
オオシマはじれていた。
もとこから連絡はないし、
もとこの無線に連絡しても、
電源が切れているようだからだ。
1階に上がって様子を伺いたかったが、
万一バレたら、
後でもとこに自分が殺されかねないので、
じっと連絡を待っていた。
もとこはホウセイにきつく縛られたので、
動きがまったくとれなかった。
ただ、
マヌケ二人の話を聞いてオオシマと同じように
じっと我慢しているだけだった。
「あと7時間くらいかな」
「8時間じゃないか」
「ちょっとでも明るくなったら、
ホウセイに警察を呼びに行ってもらおう」
「そうだな。
俺たちがここでガードしていれば、
もとこにも殺されることはないだろう」
「いや、
それより怖いのは、
くそたと女子だよ。
あの連中が知ったら
自殺に見せかけて殺しかねないぞ」
「この辺りの落とし穴見つけて落とすかもな」
「オオシマさんは地下で餓死か」
「最悪だなあ」
「でも、
餓死するとミイラになるのかなあ」
「それより、
もとこは腐るのかなあ」
「その前に、
この辺のカラスの餌になるんじゃないか」
「野良犬に喰われるじゃないの」
「ああ、そうか」
「でも、
その前に俺たち捕まらないかな」
「何で」
「俺たちは殺人を阻止しただけだぞ」
「そうか」
「とにかく、
このままホウセイがうまくやってくれれば」
「ダメなら、俺たち殺人の共犯?」
「まさか。
そういうケースにはならないだろう。
レイカちゃんもチウメちゃんもいるし」
「そうだよな。
二人をみんなで殺して全員が捕まったら最悪だなあ」
実は、
今、
その最悪のケースになりそうなのに、
二人は呑気に話していた。
さすがのもとこも二人の話を聞くと、
恐ろしくなってきていたのであった。