「木太郎の部屋で」
おちたが木太郎の部屋をノックする。
「開いてるよ」
中に入るとホウセイもいる。
「訳わかんなくねえ。あの問題?」
おちたは二人に訊く。
「はあ、もとこ先生の問題に」
と言いかけた木太郎はホウセイの視線に気づき言葉をやめる。
「何?」
「おちたくんだっけ、
今は生徒のやる気とか従順度とか、
または、
その性格を見ているじゃないのかなあ」
ホウセイが横から口を出す。
「おちたでいいよ。
でも、そう言われてみればそうとも思えるなあ」
とおちたは妙に納得してしまう。
「すると、
今日はその辺をテストするのかなあ。
ありがとう」
とおちたはそう言って部屋を出る。
「あぶなかったなあ」
と木太郎が言うと
「うん、
彼みたいに意外に素直なのが、
結構、
先生の魅力に気がついたりするんだ。
しかもその後がしつこそうだからね」
「そうだな。
永久とくそたは大丈夫だと思うけどおちたは危ないなあ」
「ところで、
何の話ししていたんだっけ」
「妹さんのことだよ」
「そうだった。
何でもとこ先生は、
あんな綺麗な妹さんを
この合宿に呼んだんだろうって話しだよな」
「そう、四美将とレイカちゃんだけでなく、
きれいな妹さんまで集めて何する気なんだろう」
「自分への気持ちがぐらつかないか、
試しているのかなあ。」
「でも、
それだと不安が前提にあるということだろう。
もとこ先生には、
そんなの微塵のかけらも感じられないぞ」
「そうだな。
それとも噂が本当なのかなあ」
ホウセイがそう言うと、
「噂?」
木太郎は
自分がでっちあげたもとこが女好きだ
という噂の一つを思い出した。
「あれは、
噂で本当じゃないと思うよ」
と木太郎は自信ありげに言った。
「何で?」
「これは、二人だけの秘密だよ。
いいか。
他言は無用。
っていっても、
そう言うとみんなしゃべるんだよな。
今回の噂もそうさ。
だからやめておく」
木太郎は思い直してしゃべるのをやめると、
何故かホウセイも
「何かイヤなことかもしれないので聞くのを
やめておくよ」
と聞き出すのをやめる。
「じゃあ、話しをもどそう。
例の噂が嘘だとして、
何故妹を呼んだと思う」
「ルックスは関係ないんじゃないか?
妹だと雑用とかやらせやすいからそれだけじゃないか」
「そうかなあ」
「そうだよ。
男子はともかく、
女子のお世話は、
あのおっさんじゃやりきれないだろう?
違うか?」
「違うと思うけどな」
「おーっと、時間だぞ」
「さあ、行くか」