「木太郎とホウセイの妄想?」
木太郎とホウセイは
考えながらも、
もとこがとんでもない計画をしているのではないか
と少し恐ろしくなっていた。
「あのさ、
オオシマさんが消えたことと関係ないかなあ」
「実は俺もあの変な声
ってオオシマさんかなあと思ってたんだあ」
「うーん、じゃあ、そうかな」
「あっ、地下室憶えているか」
「ああ」
「あそこに、
ガムテープが貼ってあったから、
ホラ、
これ剥がしたんだけど、
これ戻した方がいいかなあ」
木太郎が言うと、
「難しい問題だな」
また、二人は腕を組んで考え始める。
「もとめ先生をいじめるだけなら、
こんな手の込んだことはしないよな。
もうずいぶんいじめてるもんなあ」
ホウセイが、
木太郎の目をじっと見つめると、
「いいか、
びっくりして大声だすなよ。
もちろん、腰を抜かすなよ」
と
言う。
木太郎がゴクリとツバを飲む。
とても、
ハナクソをほじる余裕はないようだった。
「例えばだよ、
俺たちを、
オオシマさんが皆殺しにする。
そして、
もとめ先生のせいにする」
「じゃあ、
もとこ先生とオオシマさんはどうするだよ?」
「だから、
オオシマさんが消えているんだよ。
いいか、
もとめ先生がいじめに耐えられなくて暴れ出して、
俺たちを殺し回ったことにして、
オオシマが、
もとこ先生だけ助けだしたことにして、
正当防衛を理由に、
もとめ先生を殺し二人だけ助かるんだよ」
「オタク、
よくそんな怖いこと考えられるなあ。
俺は、
せいぜい、
もとめ先生と、
もとめ先生を好きなおちたあたりだけが殺されるのか
と思ったんだけど、
でも、
おちたは、
何だかんだ言ってもいい奴だから
それがかわいそうでなあ」
「甘いなあ。
いいか。
俺とオタクだけだよ。
今もとこ先生が味方だと思ってるの。
アスカちゃんや永久は、
最初からもとこ先生を怖がっているし、
ヒトメとアユメはおしゃべりだから、
後日の事情聴取で何喋るかわからないから危険だろう。
なら、
全員殺しといて、
オオシマがずっといたことにして、
二人で口裏合わせできるだろう」
「オタク、
頭いいねえ。
そうか。
整形疑惑や元デブだけでもしゃべったら、
警察が調べたら、
すぐわかるもんなあ」
と
木太郎は、
ホウセイの考えがそんなに鋭くもないのに、
しきりに感心しながら、鼻をひくひくさせた。