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BADEND?「木太郎にもやさしく」

 *「ひとときだけのやすらぎ」に続きます。



 生徒たちが木太郎の部屋に行くと、

 木太郎はいなかった。

 「くそたの部屋かもな」

 おちたが言うと、

 「怒鳴られた奴の部屋に行くかなあ」と

 ホウセイが言うと、

 「あいつバカだけど、ずる賢いから、

ごまをするために部屋の掃除でもしてるんじゃないか」

 おちたが自分の考えを言う。

 「じゃあ、行ってみよう」

 永久が言って、くそたの部屋に行くと、

鍵が閉まっていた。

 「ほらな」

 おちたが言うと、

 「でも、何で、鍵を閉めるんだよ」

と 永久が首を傾げる。

 「そうだよ。鍵開けたまま出たんだぞ」

 くそたが言うと、

 「そういう問題じゃなくて、

ごまをするのに、何で、くそたの部屋に鍵をかけるんだよ」

 ホウセイが言う。

 「変だよな、自分が何で怒られたのか理解してないで、

すねってんじゃないのか」

 おちたが言うと、

 「俺が怒り過ぎたかな」

 くそたが言うと、

 「やだー、

 中で首吊ってるんじゃない」

 ヒトメが不吉なことを言いだす。

 「そうかも。止められないように、

鍵をかけたのかも」

 アユメまで言いだす。

 「あいつ、

 意外に気が小さいかもしれないなあ?」

 おちたまで急に変なことを言いだす。

 「俺のせいか」

 「くそた、アレは立派だったよ。

 木太郎は土下座をしたことしらないんだよ。

運が悪いのさ」

 永久がなぐさめる。

 「そうよ。

 あそこで木太郎くんのバカ笑いを止められたのは、

くそたくんだけよ」

 ヒトメが言う。

 「そう、

 木太郎くんもそれがわかれば成仏するわよ」

 アユメも言う。

 「それより、早く、鍵。

 まだ、間に合うかもしれないじゃない」

 アスカが言うと

 「そうよ」

 レイカも言う。

 「木太郎くん、生きていて」

 チウメが祈るように手を合わせる。

 「よし、開いたぞ」

 くそたを先頭になだれこむようにみんながくそたの部屋に入ると、

 なんと、

 木太郎は、

 たしかに泣いたあとはうかがえるが、

 腹を出したまま、

 もういびきをかいて寝ていた。

 「何だよ、こいつ」

 くそたが起こそうとすると、

 「寝かしておいてあげましょう」

 チウメが言うと、

 皆頷き、

 ホウセイの部屋に行った。

 「やっぱ、あいつは大物かもしれないなあ」

 おちたは呟いた。

 ホウセイの部屋では、

 木太郎の笑いでひやひやしたことや、

 くそたの土下座話、

 そして、

 木太郎が自殺した

と全員思いこんでいたことなどの話しで、

 さっきまでの緊張感など忘れたように、

盛り上がっていた。

 特に自殺した

と思っていた木太郎が腹を出したままいびきをかいて寝ていたところになると、

 皆腹を抱えて笑っていた。

 そんな話しをしていると、

 トントンとノックの音がし、

返事もしないうちに、

 「何か楽しそうね」

 もとこともとめが入ってきたので、

 ホウセイが木太郎の話しだけしてごまかした。

 「木太郎くんらしいわね」

 もとめが言うと、

 意地悪くもとこが

 「でも、何で木太郎くん、

 その前も2度ほど笑っていたのかしら」

と言った。

 もとことしては、

 もちろんもとめのことを思いださせて

生徒に笑わせるつもりだった。

 鋭いホウセイが、

 「木太郎のことで笑わせないでください」

 また同じようにもとめに見えないように

ウインクをしたので、

 もとこはその時は上機嫌だった。


 

 しかし、

 ゲームは意外にも

上機嫌になって油断したもとこが負けてしまった。

 そして、

 勝ったがために油断したもとめが、

 つい、

 「姉さん、

 そういう風に油断すると、

 また、デブに戻るわよ」

 言ってしまったのだった。

 結局、

 その言葉にキレたもとこが、

 どこかに隠し持っていたナイフでもとめを刺した後、

 自らも首すじを切って自殺した。

 悪運が強いのか、

 もとこが油断負けした原因を作った、

 木太郎だけはその悲惨な光景を目撃しないで済んだのであった。

(終)

 

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