表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
187/617

「木太郎をどうにかしろ」 


 もとこ=元デブ

という生徒全員の認識は誰もを無口にした。

 そして、奇妙な沈黙が続いている時、

 トントン

 そう、もとこの呼び出しである。

 生徒は扉を開ける前にそれぞれ平静を装うと、

バラッバラと食堂に戻って行った。

 食堂に生徒たちが着くと、先にもとめが来ていた。

 「ごめんなさいね。私のせいで、時間をつぶさせて」

 もとめは立ち上がって、頭を下げる。

 生徒たちは事情がわかってるんで、

 「いえ」と同じく軽く頭を下げてから、

パラッパラッと着席する。


 ゲームはまさに女の意地を賭けた熾烈な争いだった。

 もとめも相当タフだった。

 生徒も止めるに止められない雰囲気だった。

 が、二人だけのやりとりなので、みんなあきてきた。

 そういう状況だったので、

 もとこが

 「う、ね」

 言った後、

 すぐ、

 「すもうとり」

 言ったとたん、

 木太郎が大笑いしてしまったのだ。

 しかし、

 そこはホウセイ

 「誰かさんじゃあるまいし」

 木太郎の方を見て呟くと、

 もとめが次の言葉を考えている間に、

 もとこの方を見てウインクをした。

 もとこは、

 木太郎がもとめのことを笑ったんだと勘違いして、

 ホウセイにウインクして返したので、

 生徒たちは顔には出さないが、

 木太郎以外の全員、

 ほっとしたと共に、

 どうにか木太郎をこの場から追い出さない

といけないと思い始めた。

 しかし、なかなかチャンスはなく、

 もとこともとめの熾烈な争いはまだまだ続いていた。

 ホウセイが、

 木太郎を見ると、

 どれだけ自分が危ないことをしたのか

まったく自覚がないのか、

 鼻をほじくりながらアクビをしたりしていた。

 永久も、

 やはり木太郎を観察していたが、

 次に、

 どちらかデブに近い言葉を言ったら、

 また、

 大笑いしそうな緊張感のなさがぷんぷんしていたので、

 どうにかこいつをこの場から追い出さない

といけないと考えていた。

 しかし、

 二人とも、

 自分が木太郎を誘ってどこかに連れて行っても、

 まだ、

 他に少しだけ危ないヒトメとアユメもいたので、

 自分がこの場を去ることは危険だと思っていたので、

 木太郎を誘って例えばトイレに行くとかの方法をとれずにいた。

 そして、

 二人が心配していたように二度目の危機が来た。

 もとこが

 「じ、ね?」

 と言いながら、

 うーんと唸りながら、

 「たいじゅう」

と答えたとたん、

 また、

 木太郎が

 「あまり笑わせないでくださいよ」

と言って、

 大笑いしてしまったのだ。

 もとめは何で木太郎が笑ったのか気がつかなかったが、

 もとこが生徒の方を見たので、

 今度は永久が、自分の口を押さえた後、

 生徒の方を見てわざと笑わないようにとの仕草をして、

 最後にもとこに向かって、

 もとめを横目でそっと見ながら、

人差し指を口に当てて、

 しーという合図をした後、

 両手で、

 もとめに見えないように、

 ×を作って、

 もとこの笑いを誘い、

 どうにか切り抜けた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ